第64話 友VS友

 ついに、ついに決勝戦へと足を進めたロッサとグローリ。


 お互いに切磋琢磨し続けながら旅を続けてきた二人はこの瞬間を楽しみにしていた。


「さぁ続いては決勝戦へと勝ち進んで来ました!ロッサ選手とグローリ選手でーす!」


 観客の熱は高ぶっていた。


「うおおおおおおおおおお!」


 観客達は試合が始まるのをワクワクしながら騒ぎ立てていた。


「いよいよ僕達の出番だね。」


 それに応えるようにグローリが言う。


「負けねぇぞ!」


 そう言うと一目散にグローリが武舞台に飛び乗り観客を煽るように叫びだした。


「俺が勝つぞぉぉぉぉ!」


 観客達もその言葉に反応してより一層熱を上げていった。


 次にロッサが軽やかに武舞台に飛び出し着地すると観客が何かを期待するかのように静まり返っていた。


(あ!これ僕もなんか言わなきゃダメな奴?)


 ロッサはグローリの方を見ると頷かれたのでロッサはかなり頑張って言葉を振り絞って叫んだ。


「勝つのは僕だぁぁぁぁぁぁぁ!」


 一瞬静まり返りが長かったが一部の観客が騒ぎ出すとそれにつられ会場全体が一斉に騒ぎ出した。


「良かったぁ、何とかなったよ。」


 すると司会者が対戦開始の合図を叫ぶ。


「それではぁ!ここまで長い戦いの中勝ち残った二人の対決です!決勝戦!始めてください!」


 大きく銅鑼の音が鳴り試合が始まるとグローリが早速襲い掛かってきた。


「よっしゃ!それじゃあ行くぜ!」


 駆け足で迫ってくるグローリは図体のでかさとは裏腹に素早かったのである。


「やっぱり素早さが上がっているな!」


 ロッサはそう言うと構え直し、向かってくるグローリの様子を見ながら攻撃を受けていた。グローリは連打を繰り出し普通の人間では繰り出せないほどの速さと威力でロッサに攻撃をし続けていた。


「これはかなり鍛錬したね。」


「おうよ!」


 グローリは連打を続けるとロッサは武舞台から落ちそうになりグローリの連打を超絶な速さでかわしてグローリの背後を取って重い一撃を食らわせようとしたその時、死角にいるはずのロッサに向かってグローリから裏拳が飛んできた。グローリのその攻撃を食らったロッサは驚き少し仰け反った。


「いてて、まさか裏拳が飛んでくるとは。」


「見様見真似だがな!バトルロワイヤルの時色々な武闘家の技を見てたからな!やってみたんだ!」


「なかなか良いよ!グローリ!」


 ロッサはとても楽しんでいた、自分の仲間がここまで強くなっているのを知れて嬉しいのだ。


 するとロッサはやられっぱなしじゃいられないので攻撃を仕掛けることにした。


「グローリ行くよ!」


 ロッサはグローリの懐へ素早く入り込むとグローリと同じく連打を繰り出した。グローリは数発の攻撃を受けたが体勢を立て直し防御をしながらロッサの連打を受けていたがグローリはロッサの攻撃の一瞬の隙を突いてかわしてロッサの腕を掴み背負い投げをして見せた。勢いよく地面に叩きつけられたロッサは驚いていた。


「僕の攻撃に隙があったのか?」


 驚いている様子のロッサにグローリが言う。


「がっはっは!ロッサもまだまだなんじゃないか?」


 ロッサは少しムッとしてグローリと少し距離を取りながら言った。


「次は隙を作らないよ!」


 お互いに息を整えると一歩ずつ踏み出しながらジリジリと近づいていく二人で先に動いたのはロッサだったのである。スピード重視でグローリの前に立つと軽めだが正拳突きを食らわしてみたロッサ。グローリは一瞬白目を向きかけたが持ち直しロッサの腹にパンチを一発食らわした。


「うお!」


 反撃をして来たグローリはそのまま追い打ちを仕掛ける。ロッサを掴み空中へ投げ飛ばすとグローリも最大限のジャンプで追いかけ空中へ投げ飛ばされたロッサに両手を固め振り下ろしロッサを地面に叩きつけた。ロッサは地面にめり込むほど威力の高い攻撃を受けたロッサは少しダメージを負っていた。


「どうだ!」


 空中から降りて来たグローリは息を切らしながら言っていた。

 

 ロッサはその場でゆっくり立つとグローリにこう言った。


「グローリ。こんなに強くなっているなんて正直僕は驚いているよ。」


 そんな事を言いながらピンピンしているロッサを見てグローリは呆れていた。


「大して効いてねぇじゃねぇかよ。」


 そう言うとロッサはグローリが前の試合で見せた真空拳の様な構えを見せるとそれを見たグローリは少し驚きつつ同じ構えを取った。


「グローリ!きいはバトルロワイヤルで色々な武闘家の技を見たって言ってたけど僕も一人の男の技を今さっき見た所だよ!」


「ほほう、それは誰だろうな!」


 そう言いながら二人はある技を同時に放った。


「真空拳!」


 お互いの真空拳がお互いに向かって飛んで行くと中央で真空拳同士がぶつかり合い激しい衝突音がしたが押しているのはロッサの真空拳だった。そのままロッサの真空拳がグローリの腹に入るとそのまま場外へ吹っ飛ばされた。


 会場はその迫力のある衝突に驚き静まり返っていたがグローリが場外に落ちたので司会者が結果を叫んだ。


「しょ、勝者はロッサ選手!」


 その言葉を聞くと会場が盛大に沸き上がった。


「ま、当然よね!グローリも頑張ったけどロッサには敵わないわ!」


「だがグローリも良く戦ったぞ!」


 観客席に居た二人はロッサとグローリを褒めていた。


 会場全体は盛大な拍手で包まれロッサに祝福の声が送られていた。


「負けちまったか・・・。」


「おっさんも良くやったぞぉぉぉぉ!」


 悔しそうなグローリにも賞賛の声や拍手が送られていた。ロッサはグローリの元へ行くと手を差し伸べた。グローリはその手を取って立ち上がるとロッサを持ち上げた。グローリは優勝者のロッサを思い切り目立たたせて武闘大会は終わったのだった。


 その後。大会運営委員から優勝賞金の十万Gを貰うとその場を去ったロッサ達は宿で夕食をとりながら大会を振り返っていた。


「いやぁ、グローリがあんなに強くなってて驚いたよぉ。」


「それでもやっぱロッサには敵わなかったなぁ!」


「二人ともよくやってたわよ!」


「うむ。」


 そんな話をしながら夕食を終えるとそれぞれ眠りに着くロッサ達は何だかんだ興奮が冷めないまま中々眠れなかったのである。


「ロッサあっぱれ!」

 

次回へ続く・・・。

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HOLLOW TESTAMENT (ホロウテスタメント) 山悠 @yamayu0427

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