第63話 悪魔族の変身

 武闘大会第二試合は今始まろうとしていた。ロッサはマクロがとてつもない勢いで攻撃をして来るのを寸前で避けて対応していた。


「なかなかやりますね。あなた、わざとギリギリで避けてますね?」


 ロッサは図星を突かれて寸前で避けていた攻撃をもろに顔面に食らってしまった。


「イテテ・・・。」


 するとマクロは当てたはずの一撃が対して効いていないことに驚いていた。


「私の攻撃が効いていないとは・・・、これは変身するしかないようですね。」


 マクロは変身が出来るような口ぶりで言ってきた。


「変身とかありなの?」


「この武闘大会は武器を使わなければ何でもありなのだぁぁぁ!」


 そう言うとマクロは自分の体を変化させていった。頭から角が生え、体が黒くなり尻尾が生えて羽までも生えてきてまるで魔王ディアのような悪魔の姿になってしまった。


「こうなってしまったら命の保証は無いぞ!」


 先程とは見違えるほどのオーラと喋り方で会場は皆驚いていてそれを見ていた観客席のマナ達はこう言っていた。


「あ、あいつ悪魔族だったの?」


「人間に化けて潜んでいたのか!」


 悪魔になったマクロは性格が荒くなったのかいきなり襲い掛かってきた。鋭い爪で引っ掻きに来たがロッサはその攻撃をかわす。


「うがぁぁ!」


 完全に理性が飛びかかっているマクロが先程言っていた「死なないでくださいよ。」の意味がこの事だとロッサは悟り、何とか早く倒さなければ周りに被害が出ると思い軽めの一撃を悪魔化したマクロに食らわした。


「ぐほぉ、ぬぅぅ。こんな攻撃効かぬわぁ!」


 軽めの一撃でダメージは入ったのだと思うが対して効いていない様子だったのでロッサはもう少し強めに攻撃をしだした。


「おりゃおりゃおりゃ!」


「ぐほっ!ぐはっ!ぐおっ!」


 マクロにはかなりのダメージを食らっているようだった。


「この姿になっても貴様に敵わぬとはな!」


 その言葉を最後にロッサはトドメの一撃を食らわせた。


「うぅ、うぅぅぅぅぅ。」


 人間の姿に戻ったマクロはその場に倒れ気絶してしまった。ロッサは色々と聞きたことがあったが観客に被害が出る前に片付けられて良かったと思うロッサだった。


「さぁ、次はグローリと戦うのか。」


 そう思うとワクワクしてきたロッサは軽い足取りで控室に戻って行った。するとグローリが近づいてきてロッサの背中を叩きながら言った。


「がっはっはっ!良く倒したなロッサ!流石だぜ!」


「相手が悪魔族だったのは驚いたけどね。」


 グローリはもし悪魔化したマクロと戦っていたら殺されていたか良い勝負をしていたであろうとロッサは自分がマクロの相手で良かったと思うのであった。


「次は約束通り俺と戦ってもらうぜ!ロッサよ!」


「うん。強くなったグローリの本気を僕に見せてよ!」


 お互い強くなって挑む仲間同士の戦い、果たして勝つのはグローリか、それともロッサか、結末はまだ誰も知らない。


「どっちも頑張れい!」


次回へ続く・・・。

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