第11話 兄妹喧嘩

「え、えーと、それでは私は失礼します。」

アインとマリーナの兄妹の争いの中、俺は撤退を試みる。

「マサキさん!待ってください!」

アインは俺の肩をガッチリ掴み離さない。

「え、えーと、なんでしょう?」

「マサキさんがここにいないと折檻が始まるのです!

どうかここにいてください!!」

アインの眼は捨てられた子犬のように弱々しい物がある。

「折檻なんて大袈裟な、マリーナさんは優しそうな人に見えますよ。

そもそもアインさんの身を案じての行動なのですから、グッズを捨てられるぐらい我慢しましょう。」

「マサキさん!貴方はアスカちゃんの良さを知らないからそんな事が言えるんです!」

「事実、知りませんし・・・」

「あー嘆かわしい、アスカちゃんの良さを知らないなんて人生八割は損しています!」

「お兄様、世迷言は止めてください、お兄様が熱心に推す為に貴族達の間で流行ってしまって大変な事になっているのです、少しはご自身の立場を理解してください。」

「えーと、それはどういうことでしょう?」

俺はマリーナにたずねると、

公爵であるアインが周囲に半ば無理矢理薦めた結果、婚礼前の男達に大流行しており、貴族子女に目を向けない男達が多数出来上がってしまったのだ、これに困ったのは適齢期を迎える貴族子女達である、彼女達は適齢期に良い家と縁を結ぶ為に社交界に出ているのに男達は推し談議に夢中で相手にしない、それどころか推しを裏切れないと婚姻破棄までする者ま現れる始末と鳴ってしまっているのだと。


「・・・アインさん、反省すべきでは?」

話を聞き、アインが悪いとしか思えなくなってくる。

「くっ!マサキさんはアスカちゃんを知らないからそんな事が言えるんだ!」

「確かに知りませんが、それでも社会に影響を与えるほどの事はしてはいけないと思いますよ。」

「マサキさん、よく言ってくれました!

さあマサキさんもこう言ってますし、お兄様覚悟を決めて推し断ちをしてください。」

「やだ!そうだマサキさん、一度ライブに行きましょう!彼女の歌声を聴けば絶対に私の気持ちもわかる筈です!」

「歌ぐらいでならないと思いますが。」

「いいや、なる!アスカちゃんの歌声は天使の歌声なんだ!

マリーナ、お前も聞いたことが無かった筈だ、私を否定するなら一度聞いてからにしてもらう!」

「また屁理屈を・・・

わかりました、ただし一度聴いて理解が出来なかったら推し断ちをしてもらいます。

それとお兄様に多数来ている縁談についても進めさせてもらいます。」

「え、縁談もか?」

「当然です、推しにうつつを抜かしているから未だに婚約者もいないんです、推し断ちすれば問題もないでしょう。」

「・・・わかった。アスカちゃんの魅力にお前達もメロメロになるはずだ!」

アインは推しを信じ、マリーナと約束する。


そして、何故か巻き込まれている俺はアスカのライブに参加することになるのであった・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界に行った俺は妹に生かされています。 カティ @fortune-Katty

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ