第10話 危機の真相
「マサキさん!どうしましょう!!」
マリーナが部屋に向かったので俺も逃げようとしたら、マリーナの後ろを歩いていたはずのアインが振り返り捕まえてくる。
「正直に話したらどうですか?」
「ダメだ!絶対にダメなんだ!」
「そもそも何が理由だったんですか?」
「・・・マサキさんなら良いだろう、部屋に来てくれ。」
俺はアインに連れられアインの私室に行く。
「実は我が領地は貿易が盛んでね、色々な物や人が流れて来るんだ。」
「そうなんですね。」
「その為に急遽予定には無い人が街を通る事もあるんだ・・・」
「まあ、そういう事もありますよね。」
「そう!そして今回我が領地をお通りくださったのは女神カーラにお仕えする聖女にして、下り坂グループのセンターでもある、アスカさまなのだ!」
なんだろう、命の危険に晒す程の理由に感じない予感がしてくる。
「そして、今回港でアスカさまの握手会及びシークレットライブが行われると聞きつけたんだ!
ファンクラブ会員19番の私としては駆けつけない訳にはいかない!」
アインは熱弁を振るうが俺に響く物は無い。
「だが、情報を聞きつけた時に私は王都で仕事があり、直前まで職務に追われていたのだ!」
「・・・諦めたらいいのでは?」
「そんな事は出来ない!
時間を作るために何日徹夜をしたことか!」
「寝るべきだと思います。」
熱く語られるが、語れば語るほど怒られて当然のような気持ちになっていく。
「マサキさん、兄の愚行理解してもらえましたか。」
熱弁を振るうアインを冷たい眼で見つめるマリーナがいる。
「マリーナ、何故ここに!」
「あら、お兄様には反省してもらう為にシッカリとオハナシする必要があると申し上げたはずです。」
「いや、それは充分反省している。」
「そうですか・・・なら、これはいりませんね。」
マリーナは棚の引出しから次々と一人の少女の姿絵、ぬいぐるみ、姿絵が描かれたシャツなど様々なグッズが出てくる。
「何故隠し場所を知っている!」
「お兄様が隠す所は決まっております。
さあ、反省を示す為にも処分して構いませんね?」
「や、やめてくれ!反省はしている、たがこれはもう手に入らないデビュー記念のグッズなんだ!」
アインの魂の咆哮が聞こえてくる。
「必要ありません。
ましてや身の危険を犯すような真似をしたんです、今後聖女アスカとの関わりは断つよう心掛けてください。」
「頼むマリーナ!それだけは許してくれ!」
アインは涙を流し許しを乞うのだがマリーナは決して許すとは言わないのであった。
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