第8話限界②

「……ということがありました。」


先生に報告をした。


「分かった、対応する」


対応してくれたものの、いじめは収まらなかった。


とうとう倒れてしまった。



「あれ……」


ここは、何処だ?


辺りを見渡す。


そこでようやく気がついた。保健室のベッドの上にいることに。


「大丈夫?」


保健室の先生が、心配そうに尋ねる。


「あ、はい。なんとか」



「何があったの?」


そこで僕はやっと自分の置かれている立場の事を話した。


「もう、どうしたらいいのか分からないんです」


「そっかそっか。辛かったね」


僕は倒れた事をきっかけにどんどん状態が悪化していった。


ご飯を食べようとしたら、吐くようになっていた。


「……ウォエッ!!!」


気持ち悪い。


まるで、生きるなと言っているようだった。


「……はぁ、はぁ。どうして…」


そっからというもの毎日ご飯を吐いていた。


美味しくご飯が食べられない。


苦しい。


お腹は空いているのに、体が食べる事を拒否していた。


「もういやだよ……」


ご飯が食べられずに、体重が激減してしまった。


「31㎏?」


あ……、え、嘘だろ。不味い。


サァッと血の気が引いていくのが分かった。


そういえば、段々顔色も良くない様に見えてきた。


鏡を見る。


「あ……」


有り得ないほどの、不健康な白い肌。


おまけに目も虚ろな目をしていた。


「あぁ、どうしよう…」


食べなきゃ、食べないと…


僕は、必死になって食べ物を探し、食べては、吐いてを繰り返していた。


ポロポロ涙が止まらない。


どうして自分だけこんな目に合わないといけないんだ。


もう限界だ。


ふらふらと、洗面所を出る。


台所に向かう。


カッターを取り出す。


お腹に当て、思い切り刺した。


ドサッ。


「ガフッ!!」


血が辺りに飛び散る。


「死ねるといいな」


そこで意識は途切れた。


死ねることを願って、自殺を図った。


ここは、どこだろう。


真っ暗で何も見えない。


僕は、どうなったのだろう。


死ねたのだろうか。


そんなことを考えながら、ふらふらとあたりを見渡すと、窓が出てきた。


そこには、手術中の僕がいた。


「……」


医者が、焦っている姿が見えた。


『まだ、君は死ねないよ』


え…。誰の声?と考える暇もなく、また意識が途切れた。


気がついたら、病院のベッドの上だった。


ゆっくりと目を開ける。


死ねなかった。その後悔がじわじわ伝わって来た。


すうっとまた眠りについたのだった。


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死にたい気持ちを隠して 辻本 寧緒 @Neo0708

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