拝読いたしました。
17.8万文字といわれる大作ですが、面白く、最後までダレずに読ませていただきました。
心霊ホラー作品ですが、怪異を描くための下地としての、日常生活の場面が活き活きと描かれており、そこも飽きずに読み終えることができた力なのだと思います。
尾八原先生の心霊作品シリーズに登場する、よみごのシロさんと、黒木さんのコンビも登場して、にぎやかな作品でした。
描かれる怪異は、ゾッとするし、ひとを襲う動機を知ったあとでは、なおかつ恐ろしい存在だと感じます。
そんな、ひとでは到底太刀打ちできないような、理不尽な暴力に対して、抵抗していく聖くん。
彼は、甥の晴くんを守ろうと懸命に動いていく、主人公です。
ヒトコワの要素もあり、登場するひとたちは皆がみな、善人とも限りません。
怖さを追求した尾八原先生ならではの、恐怖をご堪能ください。
聖くんと晴ちゃん、主人公たちの前途に、希望があるよう願ってやみません。