甘酸っぱい青春を生きるふたりから目を離せなくなる書き出し

幼なじみのふたりの不思議な冒険。

意味不明で押しが強く厄介なネコ神の介入で、魔法少女に変身したヒロインは、日常生活を続けつつ、予期せぬ事態に立ち向かう。

ジェットコースターのように波瀾万丈な事態の中、ふたりの子どもの頃からの曖昧でほのかな思いが、物語が進むにつれて、成熟した深い愛情と確かな絆へと進化していく。特にサンマを焼いたあとネコ神に理不尽な姿に変えられたヒーローの口の悪い愛情表現が私の好み。

ヒーローの心配なあまりの毒舌に支えられ、持続可能な魔法少女として、神の願いに応えるヒロイン。キャラクターの成長や変化、そして日常と非日常の絶妙なバランスが読み応えに溢れている。

魔法少女としての自分をアップデートしていく過程のネコ神とのユニークな関係性は特に印象的。ふたりの姿を変えるだけでなく、世界を結果的良い方向にしていく。幸運な出会いで成果を上げる変な神。

軽やかに冗舌に不条理を語りつつ、しっかり恋の大勝利なハッピーエンド。高校時代、憧れた恋の景色。作者の個性あふれる変な物語を読んで、私の憧れがいま実現したような気持ちに。

ラブコメの良さをぎゅっと詰め込んだ短編