悪役令嬢は為る可くして成った

ゲーム世界を舞台にした作品では、エンタメ的で、ある種荒唐無稽な「お約束」や「ご都合主義」にカウンターパンチを当てることが魅力の一つにあります。

悪役令嬢を救う系では「平民ヒロインが虐められる理由は貴族社会のルールを無視していて、実は悪役令嬢に道理がある」とかですね。

そんな悪役令嬢の心情に寄り添い、癒し、救うお話。またはその背景には陰謀があり大冒険に繋がるお話。
本作はそんな王道とは少し毛色が異なります。

「乙女ゲー世界のエンディング後」から物語が始まる点も異色ではありますが、、、前述の「お約束」や「ご都合主義」を物語のスパイスとして無理なく落とし込む手腕は見事であり、乙女ゲーのヒーロー・ヒロインへ、そして読者へ伸びてくるカウンターパンチは芸術的です。

ちょっと下品な本作ですが、かなり下品な前日譚も合わせてお読みいただければ魅力も一入です。