孤独な二人の恋

ハヤ

第1話裕也の職場

2005年3月15日に広島の高校を卒業したさか裕也が、4月1日内定をもらってい大阪の新聞会社に18歳で入社してから半年が立つ。同期は京都の高校を出た同い年の美人の桜、東京の一流大学を出た運動神経抜群のイケメン、中川俊哉22歳、2流大学を出た山口春奈の3人がいた。4つ上の先輩には、顔もよく、何をやっても万能な濱口竜二がいる。彼らをはじめとして、女性社員13名男性社員12名の計25名の職場。  

 どんな団体にも毎日一つの場所に集まるとグループができるもので、同期の春奈は、年が2.3個離れた女の先輩たち数人と昼休憩を過ごしたり、飲みに行ったりするようになっていた。モテる竣哉、濱口先輩も、彼女たちに好かれていたため、春奈たちと過ごす時間が増えてきていた。その他にも、40代の3人グループなどがあったが、裕也と桜は違った。桜は裕也と同じく、社内で1番年下なだけあって誰にでも愛想よく振る舞っているが特に特定の人と仲良くしたり、飲みに行ったりするようなことはなかった。裕也はというといつも無口でボーッとしていて自分からはほとんど口を開かなかった。気の弱い感じで、表情もいつも暗い。そんな裕也を桜はまるで弟を叱るかのようによく叱っていた。 

 入社してすぐに、新人の歓迎会でボーリングに行ったことがあった。濱口先輩と、竣哉は200点を超えるハイスコアを出しているのに裕也は70という酷いスコアを出した。「しっかりしなさいよ。私でも140点なのよ」その日まで軽い自己紹介しかしたことがなかったにも関わらず桜は裕也に強めにそう言った。裕也は「ごめん」と小さく呟いた。この日を堺に桜は裕也によく話しかけるようになったが決して友情や恋愛感情からではなかった。誰にでも優しい桜だったが、裕也には厳しかった。趣味がマラソンの課長に誘われ、同期たちと会社の近くのマラソン大会に出たことがあった。一般男女混合5キロの部で裕也は課長同期の中で一番タイムが遅かった。桜は一番早かった竣哉と比べて裕也を叱った。「根性ないはねーもっと頑張りなさいよー」と言われ裕也也は黙ったまま下を向いてしまったので桜は、仕方なく慰めた。 

 入社して半年間はこんな日々が続いたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

孤独な二人の恋 ハヤ @adgjmpt45

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ