終わりの章、エピローグ
終わりは始まった。最後に念願が叶ってよかった。私は椅子に座り、眠ることもない永遠を再び開始するのを決意する。
先に答えを言っておこう。私を含む、未来人が乗ったタイムマシンはこの海底ダンジョンそのものである。
莫大なエネルギーを乗せ星の終わりから始まりへと飛ぶ。それがタイムマシンの出来ること。そして特殊な薬でエネルギーに魂を紐付け、私は永遠を生きるのだ。
莫大なエネルギーとは星が死ぬ時生まれるエネルギー。つまり星の死こそタイムマシンのエネルギーの源。
タイムスリップした後は、この星からエネルギーを供給され続け、大きくなっていく。
さて、私の念願の話をしよう。
「失礼します」
「あら、どうしたの?」
入ってきた女性に遮られてしまったわね。でも彼女が答えを持っている。
「写真をお持ちしました」
「ありがとう」
その写真には様々な人の笑顔が載っている。それが答えだ。私の、平和という名の念願は叶えられた。タイムスリップする前より一万年以上もこの星は生き長らえた。
戦争は止められたのだ。諍いが起きるのは仕方なかった。それでも、皆が手を取り合い懸命に平和を望んだ。兵器は徐々に捨てられ、過ちの王は生まれなかった。正確に言うと、生まれはしたんだけど、皆の努力で抑え込めたようだ。
戦争は悲惨だ。兵器は進化させようと思えばいくらでも進化させれる。戦争は金になる、だから強欲な人間は戦争をする、そう思っていた。
でも命はお金では買えないのだ。皆、穏やかな命の大切さを……、そして命を奪い合う戦争の愚かさを知り、話し合いで解決した。
人は人それぞれの考えを持っている。きっと奪い合いを好む人もいるだろう。それでも平和のために、守る戦いを続けた戦士たちよ……、今は安らかに眠りなさい。
もうすぐこの星も終わる。星の脈動は激しくなる。ふと、隣の女性を見た。
「あなたも残る?」
「いえ、私は次の星へ家族と渡りますので」
「そう。きっと平和を続けてね」
「勿論です!」
私は女性と別れ、椅子に座り直し、想いを馳せる。あの子達とはもう会えないだろうか。
ア……、いえ、王騎君でしたね。満君、鴎ちゃん、瞳ちゃん。
これからタイムマシンでまた過去に戻った時、会えるなら……。この旅の意味もきっと生まれるでしょう。もう一度、今度はもっとこの星が長生きするような、そんな未来を見てみたい。
ああ、もうすぐ時間だわ。さようなら今のこの星よ。さようなら、進歩し続けて次の星へ旅立った心優しきこの星の人たちよ。
またあなたたちに会えることを楽しみにしていますよ。
シークルースクール みちづきシモン @simon1987
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
太陽/みちづきシモン
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます