現代的でありながら、どこか懐かしい物語

 この小説を読んでいて、どこか童話やおとぎ話のような懐かしさを感じるのは僕だけではないんじゃないでしょうか。特に愛らしくも頼りになるキツネたちとの交流の様子には、まるで宮沢賢治作品のような独特の味が感じられます。

 しかしながら、物語の骨子は(7話まででの印象ではありますが)『不遇からの成り上がり』『敵対する家の少女との和解と友情』『強力な動物たち』といった現代的で人気のあるパーツから作られています。カクヨムのメイン層を占めるような現代的小説に慣れた読者であっても、するすると楽しく読み進められるのではないでしょうか。

 現代的な楽しさと懐かしさの融合。これから先どんな展開になるのか、非常に楽しみな一作です。