【24色目】音に出ずるは人の性 〜語り手の20日目〜
え?
なぜ一つの授業についてこんなに長々と話しをしたかって?
それは、音には人の性が出るからに決まっているじゃないか。
人の話はしっかりと聞くべきだよ。
まずは、白の少年と緑の少女について。
緑の少女の美しいそれと、白の少年のそれは、本当に、優しく綺麗なハーモニーになっていた。
何故かわかるかい?
2人が本当にそっくりだからさ。
白の少年は才能があって、一般的にみれば圧倒的な実力を持っているはずなのに、黒の少女が傑物すぎて、周囲に認められなかった。
けれど、その才能を驕りにせずに、せめて、父というその漠然とした恐怖に認められるために、努力をしているが、否定され続けている。
緑の少女は才能がなく、謳歌属であることから、その壊滅的な才能を周囲からバカにされていた。
けれど、父という憧れを追うため、そして周囲からの罵倒の言葉をこれ以上浴びないため、必死に努力を続け、認められるようになった。
白の少年は、周囲の人々に認められたい。
緑の少女は、これ以上傷つきたくない。
けれど、いくら頑張っても、心のどこかに『自分なんか』という黒い感情が渦を巻いている。
そう。
大きな才能と努力を持ち合わせているくせに、自信がない。
そして、周囲に認めて欲しくて、貶されたくなくて、必死にやっている。
全てはそう、父親の影響。
どちらにも同じことが言える。
ただ、2人とも同じようなことを考えているが、実は少しずつ違っているのがわかるだろうか。
緑の少女はどちらかといえばプラスの方向、白の少年は明らかにマイナスの方向を向いている。
過去に囚われているせいで確実な自信を持てないのが緑の少女。
現在に囚われているせいで全く自信が湧かないのが白の少年。
2人の相性は、きっと良かったんだろうねぇ。
これから何が起こるのか、まぁ楽しみに聞いておくれよ。
おっと、話が長くなってしまったね。
次に、青の少年と黒の少女。
彼らも、似ていると言えるだろうね。
この2人は、さっきの2人とは正反対なんだろうね。
一本ちゃんと筋が通った自信がある。
黒の少女は傑物だ。
驕りにはしていないが、積み重ねてきた努力をしっかりと認め、自身の持つ実力を理解している。
青の少年は……何も考えていない。
しかし、周囲からの賞賛の声と、自らの持つ地位から考えて、『自分は世間から見たらすごいんだろうな』ということを自負している。
では、何故、そんな2人が合わさると、不気味な音しか出せないんだろうねぇ……
これはきっと、私が話すよりも、あんたが考えた方が面白い。
あんたの想像に委ねるとするよ。
あぁ、忘れていた。赤の少年。
彼は苦手が克服できたようだねぇ。
その後に現れた楽しそうな音色は、彼のその精神を表していると言えるだろう。
何事も楽しめるのがあの少年の取り柄だ。
きっと上手くいくとプラスに考えられている。
さて、そうしたら、もう少し違った話をしようか。
私は、水色の青年についても話がしたいのだよ。
それに、白と黒についても、そろそろはっきりと話したいことがあるからね。
……飽きてきたのなら、一度水でも飲むがいいさ。
私は、何があっても話し続けるからね。
Arco iris 〜この世界から魔法たちが消えるまでの物語〜 Lemon @remno414
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