第17話

 数日後、蓮宮のオカルト雑誌が発売された。もちろん、須藤すとうはすぐに購入した。

「五十嵐さん、雑誌買ってきましたよ」

 須藤がそう言って雑誌を見せると、五十嵐は興味なさそうに一瞥したが、実はもうすでに購入済みだった。


 藁科わらしなあおは、篠原しのはらあおになって、都内の私立高校に入学した。入学式では早速、美少年の噂が広がった。九州の田舎暮らしではあまり目立ってはいなかったが、都会では情報が瞬く間に広がり、学校には連日、人が押し寄せるようになった。本人に自覚はないが、都会でも稀なほど、その容姿は美しく、人を引き付ける魅力があった。蒼はのん気に笑顔を振りまいて、そのキュートさに皆が癒されていた。


 篠原教授と宮沢は、研究成果を発表した。欠損した臓器や四肢の機械への置換はその後、実用化に向けて協力したいという企業も名乗りを上げ、政府も協力するという国家プロジェクトとして始動した。金光教授と、片岡瑞希もそのプロジェクトメンバーとなった。

 片岡は、大学卒業後、自分の夢を諦め、家族に仕送りするために、大手医薬品メーカーへ就職していたが、金光の誘いもあり、製薬会社を退職して、プロジェクトに参加することを決めた。収入は以前より多くなり、仕事も有意義でやりがいがあると蓮宮に話していた。


「蓮宮さんのおかげです。今までは、楽しくもない仕事でしたので、それが顔に出ていたのでしょう。同僚から人造人間と思われても仕方ありませんね」

 片岡が言った。

「今はとても生き生きとしていますよ。でも、人造人間に偏見を持ってはだめよ。これからは、そういう人たちも出てくるわ。そのうち、人造人間って言葉が死語になるでしょうね。機械化された人たちの呼び名、考えておかないと。スーパーヒューマンとか、ニューヒューマンとか?」

 蓮宮が言うと、

「ネーミングセンスないわね」

 と片岡が笑った。



 蓮宮は、次の都市伝説『人食い鬼』の調べを始めた。


 後日談


 篠原蒼が人造人間であることは彼にとってデメリットではなかった。高校には普通に通うことも出来て、友達もたくさんできた。見た目には他の子たちと違いはない。けれど、蒼の内蔵バッテリーは一時間しかもたない。

「ねえ、蒼君。その大きなバッグには何が入っているの?」

 同級生の少女に聞かれた蒼は、

「これね、モバイルバッテリーだよ。これがないと、僕、動かなくなっちゃうんだ」

 と笑って言った。蒼の耳に付けているイヤホンのコードの先はそのモバイルバッテリーに繋がっていた。ちなみにこのバッテリーの大きさ、重さは、軽自動車のバッテリーと同じくらいだ。

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麗しのフランケンシュタイン 白兎 @hakuto-i

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