昔は薄く平べったい物に情報を記録していたらしい
(いや、待ってください。もう少し話を聞いてください。
確かにこの作品のタイトルに「9割嘘」とありますが、残り1割がこの話に凝縮されていると思ってください。
ええ、勿論信じられないのは分かります。僕も最初聞いた時は信じられませんでした。でもどうやら本当らしいのです。
素材を細かく切り刻んで、固めて、薄い平面状に加工するんです。植物が主に使われていたらしいです。
そこに、やはり植物等から取れる、色の違う液体を凝縮したものを塗って、情報を記録したり意思疎通に利用していたらしいというのが、最新の研究で分かってきたのです。
何でそんな回りくどいことを?って思いますよね。それは『ある前提』が我々と根本から違う事に由来します。
どうも昔の人々は、同種間で情報を伝達するには、予め定められた特定の連続音や視覚情報を用いるしか無かったようなのです。
勿論『クラウド』や『アカシャ』にアクセスすることもできません。
そんなんでどうやって社会生活を送れるんだ、と? いや、もっともな疑問だと思います。
これはあくまでも仮説なんですが、大勢の人間が一ヶ所に集まって、その中で、これまで得た情報を親から子へ伝え続けていた、という説が今の所最有力です。
各集団によって様々な生活様式や考え方が育っていって、実に多様な文化が各地で発展しそうですよね。
全人類の意識を一括で共有している我々からしたら、とても考えられない出来事です。
この辺りは今後の研究で更に明らかになってくると思います。大いに期待ですね。
え?じゃあ今はどうしてるかって?
そりゃあ勿論、今僕は……
あなたの脳内に直接語りかけているんですよ)
この物語は9割フィクションです レイノール斉藤 @raynord_saitou
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