炎天の下、夏天は燃え盛る
第7話 ふれぐらんすばぁなぁ
異界歴1年4月3日ー春の大地・中央ー
「勝った……」
サクラとリンが春天龍との戦いの勝利を噛み締めていた。しかし、その事実にカルマは頭を抱えている。
「レベリングしなくても勝てた……?何故だ。」
頭を抱えている理由は、レベルが足りないのに何故か春天龍を討伐できたのか、ということだ。
「俺達の所持しているスキルが強力すぎた。」
やはりこの答えにたどり着く。
《パチパチパチ》
拍手の音が響き渡る。
「「「誰だ!」」」
3人の声が重なる。
春の大地の入り口から黒に金が混じったローブを纏い狐のお面を装着した男が手を叩きながら歩みよってくる。
「そうだ!スキルが強い。その通り。それに気づいたカルマさんはよくやるねぇ。」
ID-FUREGURANSNBA-NA-(ふれぐらんすばぁなぁ)
「……SDの、」
リンが拳を握り締める。
「この人が、先輩……」
カルマは刀を構えた。
「ふれぐらんすばぁなぁ…やっと会えたなぁ。」
サクラの目が青く光る。
「ふぅん………まぁ、サクラくぅん?カルマさぁん?リン……さん?よろしくね?いやー、よくもやってくれたなぁ?ウチのメンバーをよぉ?」
ふれぐらんすばぁなぁが太刀を抜く。それは、人1人の分の長さがある刀身を持っていて、赤黒く輝いていた。
「は、はぁ?なんの話だよ。」
サクラの目が血の赤に染まる。
「それは、私が報告しました。」
ふれぐらんすばぁなぁの後ろからえだまめ紳士が表れた。
「てめぇ、えだまめ紳士ぃぃぃ!!」
サクラが鎌を構えて斬りかろうとする。しかし、
「止まれ!!」
カルマがサクラの腕をつかみ止める。
「あいつが何者かわからねぇけど、とにかく、ここであいつを攻撃したらお前と先輩……ふれぐらんすばぁなぁとの溝が出来るだけだ!一旦状況整理だ!」
サクラの頬を叩き、正気に戻す。そうすると目の色が元に戻っていく。
「なぁ、あのひとなんなの?」
リンがカルマの肩を叩く。
「リン……姿勢を低くしろ。合図があったら、逃げれるようにしとけ。」
「おけ。」
カルマとリンが姿勢を低くする。
「ふれぐらんすばぁなぁ。フロムゲーはまだ続けてんのか?」
サクラが鎌を下げて、気さくに話しかける。
「あ?あ、あぁ。お前は早くセ○ローをしろや。」
「あ、あっはは……帰ってからな。」
ふれぐらんすばぁなぁは話す方に気を取られ、太刀を下げてしまう。
「いまだ!」
「逃がすか!」
カルマとえだまめ紳士の声が響く。
リンとカルマが後ろに向かって全速力で逃げていく。
えだまめ紳士とサクラがぶつかる。
「なっ!?何故!?愚かにも程がある!」
「2人を逃がす。あと、2人がいなければ………………これを使える。」
えだまめ紳士を蹴り飛ばしサクラがステータス画面を開く。大鎌をしまい、刀を抜く。
「神春刀……抜刀……」
それは、春天龍のドロップアイテム……
「えだまめ。逃げろ。逃げることだけ考えろ。なんでコイツが怒ってんのかわかんねぇけど、コイツのガチは、刀だ。」
ふれぐらんすばぁなぁがえだまめ紳士の服を引っ張り、後ろに吹き飛ばす。
「な、何故!?」
「いざ尋常に………」
「えだまめ!!今すぐ全力で、」
「参る!!」
「逃げろ!!」
太刀と刀。
血黒ノ太刀と神春刀。
力と力がぶつかる。その衝撃はすさまじく、衝撃波が発生する程であった。
「申し訳ないが、ここで気を失ってくれると嬉しいんだけどなぁぁぁ!」
「それは、無理な話かなぁ!」
武士と死神の戦闘は全てが紙一重。
サクラとふれぐらんすばぁなぁは昔から一緒にゲームをやってきた。二人ともフレーム回避が得意。その為、その戦闘は凡人から見れば舞い踊っているかのように見えてしまえほどだ。
「春の刃…」
地面を抉る程の一撃をふれぐらんすばぁなぁにぶつける。
「くっ……」
太刀で一撃を防いだものの、砂埃が舞い、ふれぐらんすばぁなぁの視界が遮られる。
「旋風刃!!」
風を纏った刃が砂埃を払い除ける。
「まぁ、だろうな。」
その場にサクラはもういなかった。
Emperor-Game 転移世界で現実帰還を目指す者達の物語 ーロストルートー @yuukiarai0911
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