第6話 不死と極炎と死の皇帝は春をも穿つ

 「春天龍のHPを4分の1を削った。」


 「いやーさくら、やるねぇ。」


 「無理しすぎだ。でも、確かにやるな。」


 


 「よし。気合い入れろぉ!鎌を持て!って、俺だけか。まぁとにかく、春天龍、墜とすぞ!!」


 


 「「おう!!」」



 ー春の大地・禁足地・春天龍前ー



 桃色の翼を広げ、月光に照らされて、桜吹雪が舞う。美しい、その一言で表しきれないほどの美しさに包まれている。


 春の訪れを告げる天の神子。


 【春天龍・ヴェルディエス】が目の前に権限した。



 「勝負だ。」


 その決意に溢れたサクラの言葉に対して春天龍はその冷徹な目でサクラ達を睨むことはない。その目は好敵手を見る戦士の目に変わっていた。


 「散れ!!」


 カルマの合図を皮切りにサクラとリンは左右に散っていく。そして春天龍も渦を巻くように空中で回転し、3人を目掛けて火球のようなものを連続で放ってくる。


 「居合……斬り!!」


 「オラァ!!」


 カルマとサクラが火球を斬る。しかし、リンは刃を所持していない。持っている物は、1つの本だけ。しかし、リンは火球を前に立ち止まって不敵な笑みを浮かべた。


 「魔力操作。」


 そう呟くと火球はリンの前で動きを止めた。


 「リリースだよ!」


 そう叫ぶと火球は春天龍に向かって飛んでいった。


 「魔法使い(マジックキャスター)か!!リン!すげぇな!!」


 「えへへ!」


 しかし、春天龍はさらに火球を放ってきた。


 「止まるな!動け!」


 カルマが火球を全部斬ると春天龍に刃を突き立てた。


 春天龍は叫んでカルマを振り落とした。


 「苦しんでやがんな!!」


 「カルマ!!HPは……全然減ってない…?」


 春天龍の攻撃はとても強い。しかし、そんな攻撃を受けてもHPは全く減っていなかった。そんなカルマを見てリンは1つ思い当たりがあったようだ。


 「カルマ!まさか、きじんかをつかってる?」


 「リン!正解だ!!」


 カルマは正解を当てて貰った事が嬉しいようで、無邪気に親指を立てている。


 「鬼神化って、夏の大地で習得可能なんじゃ…」


 サクラもその力を知っているようだが、今、この状況で使える訳がない力のようだ。それに対してサクラは不信感を感じているようだ。


 「あー、えっと、じつは、獲得条件が合言葉のヤツは全部当てずっぽうで解放したんだよ…なんか、公式から公開されてたヤツもあったし…」


 衝撃的な理由をカルマが述べた。


 「運良すぎだろ。」


 「だろ?」


 カルマは再び得意気に親指を立てながら立ち上がり、また春天龍に向かっていく。


 「俺達も行くぞ!デスサイザーァァァァ!!」


 死の刃を春天龍に撃ち込む。


 「うん!!不死蝶ノ願い(アンデッド)!!」


 リンが紫が混じった炎を纏い、一心不乱に春天龍に向かっていく。


 「バカ!死ぬぞ!」


 「ぜんぜんだいじょうぶだぜ!」


 その通りにリンが春天龍の攻撃を受けてもHPが1から減らなくなっている。


 「極上ノ大地獄炎ニルヘルフレイム!!」


 紫が混じった炎を掌に集中させて漆黒の炎を生み出しと春天龍に撃ち込んだ!!


 低い唸り声をあげて春天龍が悶え苦しむ。


 「す、すごい……」


 「追い込む。業式居合・極炎!!」


 音速を感じさせる速度で春天龍の向こう側まで走り去った。


 「燃え……尽きろ。」


 刀を鞘に納めると春天龍から火柱が上がり、身体のありとあらゆる部分に斬り傷がついていた。


 「くっ、」


 「うわっ、」


 2人は大技を出した反動で膝を付き、立ち上がれなくなっている。


 


 ー死皇帝鎌のデバフ消滅まで3ー


 


 サクラが大きく息を吸った。



 ー死皇帝鎌のデバフ消滅まで2ー



 2人がサクラに後を託したような目で見守る。



 ー死皇帝鎌のデバフ消滅まで1ー



 春天龍が炎に巻かれながらも翼を広げてサクラに向かって口を開きながら突進してくる。



 ーデバフ消滅ー



 「デス・エンペラー・サイザーァァァァ!!!!」


 この世のなによりも残酷で無慈悲な刃が放たれた。


 『………見事だ。』


 その時、春天龍から声がした気がした。



 「じゃあな。春天龍。」


 春天龍の胴体が2つに分かれ、消えていった。



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