かくれんぼ

インドカレー味のドラえもん

かくれんぼ

 鍵を掛けた扉の取手が、激しく揺れる。

 母の帰りが遅くなる日、決まってあの義父おとこは私の部屋にやってくる。

 5、4、3―――男が数字を数える。やがて振動は激しさを増し、私は部屋中が揺さぶられているような錯覚に陥った。

 2、1,ゼ―――0に近付く数字。たまらなくなって、私は扉を開ける。

 そして身体を撫でるにやついた視線は、真冬の風のように私の心を冷たくし。

 施錠した扉、睨みつける視線、あの男は私のそんな抵抗にも興奮するらしく。

 組み伏せられて横目に見えた時計によると、母が帰るまではまだまだ時間がある。

 ああ、この悪夢の様な時間はいつまで続くのだろうと、私は耳元で獣の様な荒い息遣いを聴く。

 なぜ、私は耐えているのだろう。

 母のため?

 自分の生活のため?

 考える程わからなくなって。

 そんな日々を繰り返す内に、私の心はどこか決定的な所が欠けてゆき。

 私がその結論に至るまで、そう時間は掛からなかった。 

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かくれんぼ インドカレー味のドラえもん @katsuki3

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