ーーー番宣ーーー

京を焼け野原にし、多くの命を奪った応仁の乱終結から早六十年が経とうとしていた。六十年前、畠山従兄弟や山名宗全、細川勝元、神保長誠や朝倉孝景など両軍の主要指揮官は遂に死に絶えた。そして指揮官を失った武士(モノノフ)達は何となくではあるが、この大戦を終結させた。だが、この「なんとなく」が過ちであったのだ。本戦は「なんとなく」終結したのだが、ここまでこの戦を大きくした理由の一つ、「御家騒動」がまだ解決していない者が多くいた。戦の前から続いている者も、戦で「どちらに着くか」で揉めた故の争いをしている者もいた。更に悪いことに、彼等が戦を進めるために、内政が疎かになり、それを不服とした武士達は謀反を起こした。戦の長期化で弱体化していた者から次々と“謀反人”の部下達に成り代わられていく……。そんな「下剋上」の風潮もこの戦は齎した。それ故に余計応仁の乱は長引いた。もう最早応仁の乱とは言えない。「戦国時代」である。

 ……そんな天文三年。ある所に割と裕福な田舎武士がいた。彼は弱小な家ながら、代々朝廷に弾正忠に任ぜられる「織田家」の人間であった。天文三年、そんな彼に第三男が生まれたのだった……。

 その時誰が考えただろうか。この華奢な男児が大きな偉業を成し遂げるべく、“戰國”に立ち向かうことになる事を。そしてこの神の御國の行く末が彼に委ねられた事を——。



次章 [ 戰國平定錄【立志篇】]


       乞うご期待……。

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戰國平定錄【戰國篇】 天ッ風 月読丸 @netsumura

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