第22話 酒と涙で告白くん

pm8:30


カレンの想いを聞いた小坂は呑むしかなかった。呑んですべてを忘れたかった。


「コボちゃん、そんなに飲んで大丈夫なの?」

「ら、らいじょうぶらよぉ」

まったくろれつが回らない。頭もお酒の力で回らない。もともと回転の遅い小坂の脳はもはや思考停止寸前だ。


あぁカレンちゃんをこんなに好きなのに、カレンちゃんは涼くんを想っている。

初めてこんなに人を好きになった...

辛いなぁ、胸が苦しいというかなんだこの複雑で切ない気持ちは...


初めて人を本気で好きになった小坂の感情は行き所がなくなり、小坂の中で処理しきれずに体が涙を流すという反応を示した。


「コボちゃん泣いてるの?」

「泣いてないよー」

「涙流してるじゃん」

「えっ?ホントだ!」

「どうしたの?泣き上戸なのかな?」


小坂は体が勝手に反応したことに気付かないで、涙を流してることを言われてやっと気付いた。


「あぁ、らんかごめん、俺カレンちゃんが好きみたいら」

「えっ?」

「会ったろきから、俺もひろめぼれれ、れも涼くんの事を好きらって言われて、れもカレンちゃんが幸せになれるならって思って」

「コボちゃん...」

「初めてこんらに、人を好きになって、我慢しらけろ、勝手に涙が流れて...人を好きになるのは辛いらぁって...」


小坂はお酒を飲みすぎたせいか、泣きながらカレンに想いをぶちまけてしまった。


「コボちゃんがそんなふうに思ってくれてたんだね、全然わからなかったよ」

「そうなんれすよ、辛いれすよ。れもカレンちゃんを好きな気持ちは、られにも負けないれすよ」

「わかったから、もう泣かないで」

「泣いてないれすよ、なんか勝手にれてくるから、今まれ、られともお付き合いしたことらいし、おろまりもこの前がはりめてで、すっごい嬉しかったんれすよ」

「おろまり?お泊りのことかな」

「そうれす!おろまりれす。今日もおろまりらから、嬉しくて、れも、ここにいたらいけない気がしれ、もう帰るますから」

小坂は泣きながらフラフラと立ち上がりリビングのドアのほうへと向かった。

「そんなんで帰ったら危ないよ、ねっ?お泊りして全然大丈夫だから座ろ」

小坂を後ろから抱きしめるかたちでカレンは必死に引止める。

抱きしめるように引止められた小坂は振り返るが、お酒で足元がフラフラしてるせいでカレンに抱きつくようにしがみつく。

結果ドラマのワンシーンのような男女が抱き合っている状態になった。


「コボちゃん、今日はお泊りしてこ」

「俺は、ここにいれはいけないんれすよ」


カレンは横に首を振って


「いけなくないよ、いていいの」

「涼くんに悪いれすよ」

「涼くんは彼氏じゃないから」

「カレンちゃんの気持ちに悪いれす」


そう言ってカレンと離れようとする小坂。

それを阻止するようにさらに強く抱きつくカレン。


「コボちゃんの告白びっくりしたけど、なんか嬉しかったの」


カレンもお酒に酔っていたせいかわからないが小坂に母性なのか愛情なのかわからないなにかに心を動かされたようだ。


「だから、ここにいてほしいの」


小阪は一瞬で酔がさめる。


ここにいてほしいの ――――

ここにいてほしいの ――――

ここにいてほしいの ――――

ここにいてもいいんですか?

どうなってるんだぁ?

なんか記憶飛んでるやんけぇ


小坂が少し自我を取り戻し見た光景は、小阪の胸の位置から覗き込むように、少し潤んだ瞳でじっとこちらを見てるカレン。

カレンの細い腕は小阪の細い腰にしがみつき、豊満な胸が小阪の腹部あたりに当たっている。

小坂はカマキリのように両手を高く上げ硬直状態。

小坂はカマを振り下ろすようにカレンを抱きしめる。


「カレンちゃん!好きれす!カーロ(カード)より!アイロル(アイドル)より!せいるうさん(声優さん)より、俺の好きの中れ、1番好きれす!」


小坂は息を切らすほどの興奮状態でカレンに想いの丈を伝える。

身体中の血が沸騰して全身脈を打つ感覚が小坂を襲う。

心臓はこれ以上ないくらいの速さで鳴り続け、今何か言われたら破裂してしまいそうなくらいだ。


「私も好き」


DANGER DANGER DANGER

けたたましくサイレンが鳴り響く

「艦長、敵機がせまっています。もう時間がありません」

「総員につぐ!小坂砲発射用意」

「エネルギー弁閉鎖」

「エネルギー充填開始」

「セイフティーロック、解除」

「ターゲットスコープ、オープン」

「電影クロスゲージ明度20」

「エネルギー充填120% 対ショック、 対閃光防御」

「最終セイフティー、解除」

「10秒前」

「9.8.7.6.5.4.3.2.1...」

「小坂砲、発射」

宇宙戦艦ヤ○トの主題歌より♪

チャーチャチャ♪チャーチャチャ♪

チャッチャチャー♪

チャララチャチャチャチャーチャーチャー♪

チャーチャァチャチャ♪チャッチャー♪

チャーチャァチャチャ♪チャッチャー♪

パラパパラパパラパパッパ♪

パラパパラパパラパパッパー♪


「うっ」


カレンのお腹あたりで硬くなったものがビクンビクンと動いた。


パシッ


小坂の頬に痛みとともに乾いた音が鳴った


「最低っ!」


せっかく大どんでん返しの高展開に恵まれた小阪であったが、今回も裏切ることなくきっちり落とすのであった。



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