死神さん(仮)の苦悩

@hayasshi

短編

自分が何者でなぜ生まれたのかがわからないが一つわかっていることがある。

目が覚めた時、その傍らにあったその本はノートのような絵本のような厚さでありながら中身は辞書のように行間が短く細かい文字の羅列が綺麗に書かれているが内容はこれから死ぬであろう人物の名前とその死に方についてだ。なぜ言いきれるのかというとそれを4,5回ばかり確認し、目の前でそれが起こったからだ。初めはただ呆然としていただけだったが2回目でようやく理解した僕は3回目でなんとか出来ないかと助けようとした。しかし、その瞬間体の自由が奪われた。何事かと思考を回転させるが一向に理解できず、ただみていることしかできなかった。

その次もその次もその次もその次もその次もその次もその次もその次もその次も…ただみていることしかできなかった。ただ助けようとした後に必ずといっていいほど夢を見た。家が隣で幼なじみといえる仲の良い女の子…というよりは一方的に話かけられるだけだが。そして5分から10分それが続くと突然風景が変わり真っ白な空間にあの方が現れる。あの方が正直誰なのかはわからないし思い出そうとすると霧がかかったかのように思い出せないが目の前に来られるとなんとなく膝をつきたくなってしまう。そんなような人物?から飽きるほどいわれてきた

「それは前世のお前がある人物を助けようとして私に楯突いた報いだ。お前になど誰も救えん、ただその本に書かれた者の運命を見届ける役割を与えよう。なに、無駄なことではない。その確認作業は死神の役に立つ、光栄に思え。」

そう言い残して夢が覚める。

あぁ…いつまで続ければいいのだろう、終わりはあるのだろうか、夢の中の女の子は誰なのだろうか。

「僕はまたみているだけしか出来ないのかなぁ。」…?

僕からなぜこの言葉がでてきたのだろうか…分からないが苦しくなり吐きたくなるのは何故だろう。

そうして僕はまた人の終着点を見続ける。

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