第22話 二人

私は先輩と別れてから何度も瀏司に連絡をしようとした。


だけど会いたくなるのが怖くて連絡するのを辞めた。


瀏司には私が先輩と別れた事は知っているのだろうか?


もし知っているとなれば気になって連絡をしてくるだろうけど、もしかすると責任感じて…?


そう考えられなくないけど……




ある日、メールが入ってくる。





♪♪~…


【生きてるか?】

【先輩と別れたって?】




ドキン…



「瀏…司…?」





♪♪♪~…


【そうだよ】




♪♪~…


【そっか】




♪♪♪~…


【瀏司、責任感じてるとかないよね?】




♪♪~…


【全然ないわけじゃないけど】

【お前が元カノの件で悩んでたのは知ってるし】




♪♪♪~…


【瀏司、どうして黙っていなくなったの?】





♪♪~…


【悪い】

【自分の中で、お前との距離おきたかったから】

【好きだからこそ傍にいたかったけど俺が辛かったから】





♪♪♪~…


【ズルいよ…自分の気持ちばっか言っていなくならないでよ】




♪♪~…


【マジ、ゴメン】




♪♪♪~…


【瀏司…戻って来て…】

【私の傍にいて…】

【なんて…ゴメン…】

【…瀏司…私ね…瀏司が…】





フワリと背後から抱きしめられた。


ドキッ




≪…えっ…?≫




「俺が何?」



ドキーーッ




「ちょ、ちょっと…えっ…!?」



耳元で聴こえる聞き覚えのある声に私の顔の真横には至近距離で、まさかの人影に驚くも心臓はバクバクだ。



「ま、ま、待って!瀏…っ!」




キスで口唇を塞がれた。



「…で?俺が何?」



向き合う私達。



「……………」



「……好…き……」



「…………………」



「…ちょ、ちょっと…何か言ってよ…恥ずかしいじゃん…!」

「…ただいま」


「えっ…?…た…ただいま…って…お、おかえり…って…違う!私は告白…」


「えっ?いやいや帰って来たから、ただいまだろう?戻って来てとか?傍にいてとか言ってたし」


「そ、それは…」

「第一、俺はお前に想い…」



私は瀏司の胸に飛び込み顔を埋めた。



「…そう…だね…瀏司は…辛い想いして過ごしてたんだよね……ごめんね…それから…ありがとう…」


「いや…別に…」






そして─────春。4月。高校3年生。




ガラッ


引き戸が開き、担任の先生と一緒に一人の男子生徒が私の教室に転入してきた。



≪…えっ…!?≫




まさかの登場だ。


同じ学校には行かないと言っていたはずの瀏司が─────




「以前、同じクラスになった人もいるかもしれないが、改めて自己紹介をしてもらおうかな?」


「はい。椎納瀏司です。宜しくお願いします。後…」




教壇から離れ私の席の前に来る瀏司。



グイッ


私の手を掴むと席から立ち上がらせ肩を抱き寄せた。




ドキーーッ


「彼女と同居してるんで!ちなみに俺の彼女でーす♪」




教室がざわつく。



「ちょ、ちょっと…!」

「えっ?駄目?」

「いや…駄目とか…そういうのより…」

「じゃあ、どういうの?」


「変わってねーな。瀏司!ラブラブを見せ付けるのは良いから」

「そうそう」

「つーか、突然いなくなったかと思ったらサプライズでご登場かよ」



前に同じクラスだった男子生徒達が言った。



「いや~本当、色々と大変でさー。ちなみに俺達両親の公認で、実は以前も同居していたんだよねー。まあ、つまり、そういう事なんで、改めて宜しく!あっ!予約制で遊びに来ちゃって♪ご招待しちゃうよ~。あ、それとも招待状あった方が良い?順番で……」





そんなこんなで、また、24時間と変わらない私達の生活が始まるのだった。




ブー… ブー…ブー…


【改めて宜しくな。トモカ】

【みんなには隠し事しない方が良いと思って宣言した】




ブー…ブー…


【本当、リュウシは突発的過ぎるよ!】



ブー…ブー…ブー…


【嬉しいくせに】



ブー…ブー…


【だ、誰が!】



ブー…ブー…ブー…


【え~】



ブー…ブー…


【…でも…ありがとう…改めて宜しくね】




ブー…ブー…ブー…


【宜しくな】

【つーか…現状宣言しておいた方が後々、良いっしょ?】




ブー…ブー…


【そうだね。リュウシはモテモテだからね】



ブー…ブー…ブー…


【お前もな】







ブー…ブー…


【私が?】



ブー…ブー…ブー…


【バカッ!お前、可愛いって人気あるの知らねーだろ?】

【つーか、話は帰って話す。キリがねーし】







そして夜。


瀏司から話を聞いた。


元々、可愛いと評判だった私。


そんな中、あのドタキャン事件になる以前から、その彼の悪い評判が更に私の人気を逆にアップさせてしまったようで、その後、先輩と付き合って更に先輩の評判が元々良い為、私の人気はヒートアップ!


かなり憧れの的で注目されていたというのだ。


私が知らない世間?の噂が話題となっていたらしく────




「つまり、そういう事だから!お前はモテモテなわけ!」

「そうだったんだ…」



両頬を包み込むように触れる瀏司。


私の胸はザワつく。



「やっと、一人占め出来た」



ドキッ


かあぁぁぁ~…

顔が真っ赤になるのが分かった。




「うわ…一気に熱加速?」

「ば、バカ…!」



私は触れられている両頬から瀏司の手を離そうとするとグイッとされキスされた。




「………………」




そして再びキスをされ深いキスをされた。




かあぁぁぁ~…


慣れないキスに戸惑う私を察してか



「二人で大人の階段のぼろうぜ。ト・モ・カ・♪」

「ば、バカ…!もうっ!」





私達は騒ぐのだった。









~ THE END ~





ご愛読ありがとうございました。

長々、お付きありがとうございます。

これからかも宜しくお願い致します。








































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