第21話 瀏司の想い、そして…

「えーー、今日は、まずみんなに残念な報告がある。椎納の突然の転校が決まった。みんなには会わず、ここを去ると言う事で、みんなには宜しくとの事だ」




私が気付いてから数日後の朝の H.Rの事だった。


瀏司は連休を利用し、その前から引っ越しや転校の手続きを済ませていたのだと言う事を先生から聞いた。


そして、親同士の知人、会社の関係で両家公認で私と二人で同居していた事を話したそう。


私の両親も口止めされていて言わなかったらしく、バイトも辞め、拓海も突然の出来事に驚きを隠せなかったみたいで……。





ある日―――――



「拓海…あのね…私…瀏司に……」

「…知ってる…告白されたんだろう?」

「……拓海…知って…」

「アイツに “君が好きなんだ“ ってハッキリ言われた」

「…えっ…?」





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




〜 拓海、瀏司、Side 〜





「俺、アイツの事が好きです!気持ち嘘ついて隠すのは嫌だから、アイツにハッキリ告白します!良いですよね?先輩」


「いや…別に許可取らなくても……」


「じゃあ、先輩に黙っておいた方が良かったですか?」


「…瀏司…」




「二人付き合ってんのに彼女の…朋花の口から告白されたって聞いた方が良かったですか?…アイツ…朋花は…言い出せないし言いにくいと思いますよ」


「…えっ…?」


「それから…先輩…アイツの事…心から愛してあげて下さい。アイツの悲しむ姿は見たくないので…。……アイツ…今…不安で仕方がないんです…いつか…冷めるんじゃないか?別れ話、言われるんじゃないか?…って……」




「…………………」




「あなたの元カノが現れて以来、彼女は…朋花は…不安と幸福(しあわせ)の間を行ったり来たりしているんです!」




「…朋花が…?」




「明るく元気にしているかと思ったら、ふと見せる悲し気な寂しい表情。あー、また先輩の事で悩んでんなー…って…先輩の前で幸せそうに笑顔でいるかもしれないけど、本当は、スッゲー不安で不安で仕方がねーんだよ!アイツの事、もっと見てやってくれよ!」





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



ポロッ…  スー…



涙がこぼれ落ちる私。



「…朋花…?私…」

「…ぃよ…」

「えっ…?」


「…瀏司…ズルいよ…言うだけ言って…私の前から去って行くなんて…もっと…アイツと瀏司と一緒に…いたかった…瀏司の事…全然分かってないのに……それなのに…突然過ぎるよ…」





♪♪♪〜…


私の携帯が鳴り響く。


私は携帯をチェックする。




ドキン…




【お前と出逢えて良かった】

【お前の事、本気で好きだから】




まるでタイミングを見計らったかのように、まさかの相手からのメッセージが入ってきた。


メッセージは更に続いていた。





【このメッセージが届く時、俺は傍にいないかもしれないけど】

【先輩ほどイイ奴はいないから】





「…瀏…司…」

「…朋花…?」

「…ごめんなさい…私…」

「一緒に居過ぎた?」

「…えっ…?」

「離れて気付く自分の想い」

「…拓海…」


「朋花の中で俺よりも瀏司の存在は、いつしか大きかったんじゃないかな?」


「…えっ…?拓海…?」




ポンと私の両肩に触れる拓海。

ドキッ



「…拓…」




ドキン

キスされた。




「…俺達…終わりにしよう…」




ズキン



「…拓海…?ま、待って!どうし…」

「俺達の距離は、ゆっくりと離れ始めていたんだと思う…俺も正直、君への不安があった。信じていたけど、いつか別れてって言われるんじゃないかって…あいが現れて以来、俺達はスレ違ってた気がする」



「…………………」



「今後の為にも俺達は、これを機に別れた方が良い。俺、もっと忙しくなるし…」


「…分かりました…」



先輩は抱きしめる。



「ごめん…今迄ありがとう」





私達は別れる事にした。






















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