第12話 面接
次の日、2人でマッサージ店に行き、店長に面接をお願いしてみた。
「うちは基本、資格がないとできないんだよ。」
あっさり断られてしまった。
それならと、ミカどのがコージ殿に電話して聞いてくれている。
コージ殿がわらわと直接話したいからと、ミカどのから携帯電話を渡された。
「おはよう! 元気だった? 美香ちゃんから聞いたけど、マッサージ店でバイトしてみたいんだって? それならうちの取引先の店が駅の反対側にあるから、そこでバイトしてみれば? 僕もそこの会員だから、ジュリちゃんの施術受けに行くからさ!」
コージ殿のおかげで話がまとまって良かった。
駅の反対側にあるというのですぐに行ってみると、そこはセレブ御用達の高級会員制マッサージ店でかなり豪華な作りのお店だった。
「面接に来たジュリです。」
入り口で名前を告げると、店長室に通された。
「いらっしゃいませ! お話はコージさんから聞いておりますので、まずはロッカールームで制服に着替えて下さい。簡単に研修して、大丈夫なら、私がジュリさんのフォローにつきますので、お客様の施術に挑戦してみましょう。」
店長の説明を受けながら基本研修のビデオを1時間ほど見ていく。
これで、30分6000円のライトコースの客を施術できるようになったという。
それより上のコースは、少し経験を積まないと会社の許可が下りないので当分の間、この内容で仕事すれば良いとのこと。
店長が新人の女性を1人連れてきた。
「お客様だと思って施術してみましょう。」
まずはマニュアルどおり、挨拶して、お加減を聞いて下さい。
「いらっしゃいませ。本日はどのあたりが凝ってらっしゃいますか?」
「えーと、肩が凝って腰がちょっと重いみたいなんです。」
「かしこまりました。それではベッドにうつ伏せになって下さい。」
その後、マニュアルどおりに30分の施術をそつなく終えると、店長と新人の子から褒められてしまった。
本気を出さずともこんなものさ。
「これならライトコースを1人でまかせられるわ。」
店長が喜んでいる。
その日は、夕方の5時までで6人のお客さんをマッサージしたが、皆気に入ってくれたようで、次はジュリちゃんを予約してから来ると言ってくれた。
客からの評判が良かったので、店長が給料を折半にしてくれた。
封筒に2万円入れてくれたのは、研修の1時間分が2000円だったようだ。
ミカどのの家に戻り、今日の成果を報告すると、たいそう喜んでくれた。
宿代として今日貰った2万円をミカどのに手渡す。
最初は断られたが、わらわの押しに負けて、受け取ってもらえた。
「じゃあこれで私もお店に行って、ジュリちゃんにマッサージしてもらおう。」
「そんなことを言わんでも、ここでいつでもできるではないか。」
「えっ? いいの? ただでやってもらって。」
「当たり前じゃ。なんなら前面もマッサージしてやるぞ。」
「お手柔らかにお願いします♡」
この日、美香は初めて女性に何度もいかされるという貴重な経験をし、次の日の朝、なかなか起き上がることができなかった。
勇者召喚をくい止めようと日本に転生した魔王(女)には恋愛耐性がなかった もぴー @papakanon
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