最終話 転生仙境記《てんせいせんきょうき》
「
そう僕が聞く。
「ああ、死んだ......」
「それでは
「たぶん
打ち捨てられた遺体をみていう。
「だが、なぜ
「あの方は、何か得たいの知れない存在となっていた。
もはや、人とは違う何か......
無論、霊獣仙人とて人とは異なるが、心がある。
しかし、あの人は何かそういうものとは異なる何か......
そういうものとなっていった」
「それで、僕に仙人などなるべきではないと......」
「......うむ、人の
それを律することは間違いではないが、捨て去るなど、
どだい無理な話、心をなくせというに等しい......
仙人が目指すべき、
「なるほど......」
僕は違和感を感じ、周囲を見渡す。
「どうした
「ない
「なに!?まさか!!」
僕たちが探すと扉の前に影ができ、
そこから黒ずみとなった
「なっ!死んでいたのに!」
僕たちが近づく。
「ふっふっふ......」
そう焼けただれたかすれた声で笑う。
そして扉を手に持った
切り裂いた。その瞬間、衝撃が放たれ僕たちは飛ばされる。
「......まさか、死んだ自分の体を操ったのか......」
すると巨大な扉がゆっくり開いた。その中から光に包まれた、
男とも女ともわからない容貌の白い衣を着た人物が現れる。
「あれが......
「なんだあれは人や仙人じゃない......もはや太陽のようだ......」
その強大な気に僕たちは呆然と動けずにいた。
「ああ......
黒ずみとなった
僕たちも構えた。
「
そういう
「......なぜだ。私は人々や、
この世界に心あるものを救おうとしている......」
「......どう救われるのですか......」
僕は圧迫感で意識を失いそうになりながらも、
勇気を振り絞り質問する。
「人や心あるものはその
愛し、苦しみ、悲しみ、怒り、間違い、葛藤し、奪い、殺す。
その
それが真なる救済......」
「そんなことはできない......」
そう
「できる......私ならば......
わかっていよう
「
はいよる
「このように愛などという
愚かなことをするのだ......」
僕は沸き上がる怒りをおさえ聞いた。
「......どうやってそれを実現するのですか」
「この世界の全ての気を集め、また再生させる......
そして今度こそ、
全ての心あるものを
「......なるほど、
結局今のものたちを滅ぼすってことだろう」
「解釈の相違だ......この世界、人間界を含め、
心あるゆえに苦しむ。
皆この苦痛より逃れるために、生きるのだろう。
なればそれを無くすのが力あるものの究極の責務だ......」
「確かに辛い苦痛より逃れたいのは皆同じ......
でも心がなくなったら、だれも生きていく意味もなくなる」
僕がそういうが、こちらにみているその目は、
僕たちが見えないかのように冷たい。
「意味など要らぬ......ただ幸福に生きていけばよい」
「
それは生きてはいない。
そこに在るだけ、そこにはいない......
僕は昇天してそれを知った......
出会った者たちはそれぞれ、傷つきながら、
一生懸命生きていた。そこに意味はあった......」
「子供の戯れ言だ......」
「そうだ戯れ言だ!でもそれでいい!
僕にとってはそれが真理だ!」
僕は懐から
「無駄だ......」
手を前に出すだけで、
僕の気ごと
(
その時、先につけた泥がはじけ、
一瞬、
「こんなことをしてなにになる、もはや諦めよ......」
「諦めぬ!」
僕の横から、
「
だが、かわせばよいだけ......」
「いいや.....あなたは
だから自身の命さえも軽い!
「わかってるわよ
「なに......」
大きくなり、
僕は久しぶりに
目の前の籠に赤ちゃんが寝ている。
「ほら、指を握っています!かわいいでしょう!」
そう赤ん坊に指を握られ、
満面の笑みの
この子は
妻の
あの戦いのあと
再び扉の奥へと封印され、
事実を知り、失望のうちに去っていったという。
「違うから!わたしがさらわれたのはわざとだから!
ずっとあいつらの隙を狙ってただけだから!」
そう
静かにうなづいていたのが印象的だった。
「俺はもうだらける......あとは
そういって酒をのみながら、
「それで
せっかくこられたのです。ここにいられてはいかがですか?」
「そうですね......少しいさせていただいて、
ゆっくりと今まで旅した所へいってみます」
(
今まであった人たちも、みて見たいから)
「ふふっ、それは嬉しいです。
それで仙人になった意味はお分かりになりましたか」
「ええ、分からないことが分かりました」
そう僕は笑顔で答えた。
転生仙境記《てんせいせんきょうき》 @hajimari
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