第26話 雪解け ⑤
空が少しづつ、明るくなってくる。
耐え難い冷え込みが、地を這うように忍び込んでくる。
主の用意してくれた敷布が無ければ、この冬もただ耐えるだけだっただろう。
「人の温もりは、良いものだな。」
つい、呟いてしまう。
よく考えると、人では無いのだけれど。
それを言ったら、私も人かどうか怪しいのだけれどな。
寝床から、そっと抜け出す。
よほど疲れたのか、いつもなら起き出してしがみついてくるのだけれど、そのような気配すら無い。
下腹部が、ジンジン痛む。
股間から流れ落ちる破瓜の証と主の精と。
何度体験しても、痛いだけなんだよな。
今受胎すると色々と支障があるよな。
そう思いながら、避妊魔法を自身に掛けて。
今生では一人くらいは、主との子を育てても良いかなと思うくらいには情があるしな。
昨夜の激しさを物語るように、引き裂かれた私の衣が、そこかしこに投げ捨てられていて。
前世で交わってから、数百年ぶりだったせいだろうか。激しすぎる交わりは、何とかならなかったのか。
もう少し受け入れる回数を増やせば、優しくしてくれるのだろうか。
思いながら、今まで受け入れた回数が、片手で余ることに気がついて。
そう考えれば、激しさも無理ないかなとは思い始めてきた。
主と私の子か。
もし授かれば、どんな子が生まれてくるのだろうか。
蛍と共に 異世界の山奥でのひとり暮らしスローライフ? じん いちろう @shinn9930
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