間川さんが小説を通して書かれる世界は、すごく悲しかったり残酷だったりするものが多くて、この作品もそう言えると思います。
「家族」というものは、時には幸せをもたらしてくれる存在でありながら、歯車が噛み合わなくなってしまえば、とても歪で、苦しいものに変貌すると思います。『かくして安らぎは遠く』も、そうした一つの家族について描いた作品です。最後まで読み終えて、すごく切なくなりました。
私が間川さんの小説が好きなのは、この世界のどこかで今も起きている苦しいものを、真っ向からしっかりと描き切っているからだと思います。そういう作品のことを、すごく素敵だなあと感じます。
間違いなく悲しくて苦しい物語ですが、そうしたお話が好きな方にはとてもおすすめです。よかったらご一読ください。