第7話

メスの刃を大動脈に食い込ませる。

Aの悲鳴と血飛沫で噴水ショーが出来上がる。

僕は優雅にステップを踏みながら、Aに近づく。


「来るなぁ!来るなぁ!」


Aは歯がガチガチ鳴らしながら、恐怖でいっぱいの顔で叫んだ。


「歯がいいのかい?仕方ないね。」


僕は閉じられた口を無理矢理開き、上の前歯をペンチで挟み上に曲げた。

内側の歯茎が裂け、神経がちぎれ、前歯が取れる。

他の歯も一本づつ丁寧に取っていった。

歯はBの血のプールに浮かべる。


「君はいつもいつも偉そうな話し方で、話していたね。君の話し声が聞こえる度に癪に障って、何度殴りたいと思っただろう。でももうすぐ解放される。」


僕はマチェットでAの口を切り、閉じられなくする。

舌をペンチで引っ張りながら、メスで少しずつ切り取っていく。

Aからは、声帯を震わせた音だけが発せられる。


「こっちの方が、卑しい君にピッタリだ!ほら、もっと鳴けよ。」


僕は笑いながら、Aを蹴る。

成績優秀で慕われるAの命を握り、優位に立った僕は初めて感じる底の見えない優越感に浸る。

マリアナ海溝より深く、宇宙よりも大きい優越感は僕の歪んだ劣等感を消し去り、ドーパミンを過剰に放出する。

右目を刺してやると、のたうち回りながら鳴き声を響かせる。

腕や足を切りつけ、いたぶる。

Aがとうとう鳴かなくなり、心臓の辺りを刺して殺した。

他のクラスメイトも心臓の辺りを一刺しし、確実に殺す。

僕はスマホで写真を撮り、5ちゃんねるに載せる。

後方のドアの鍵を開け、トイレの水道で手と顔についた血を洗い流そうとした。

水道の鏡には、真っ赤で凛々しい顔の別人のような僕が写っていた。

血を綺麗に洗い流し、返り血で赤黒く重くなった制服を脱ぎ、バッグに入れていた制服に着替える。

髪についた血は全部流せなかったので、オールバックにしてカモフラージュする。

悲鳴を上げる体に鞭を打ち、夕日に見つめられながら帰宅する。

帰宅してすぐ、風呂に入る。

お湯が固まった血を流し、赤い水が途切れることなく排水口に吸い込まれていく。

血まみれの制服をお湯に浸し、風呂場と制服をオキシクリーンで綺麗に洗い流した。

制服を乾燥機にかけ、リビングに入る。

既に夕飯が並べられていて、好物の生姜焼きだった。


「いただきます。」


数時間前に見た肉とは違う触感に、知的興奮を覚えた。

半分くらい食べ進めたところで、溜まりに溜まった疲れと眠気が僕を襲う。

僕は食事を諦め、両親におやすみと言い残し自分の部屋に入る。

ベッドに体を投げ出し、今日の出来事を少し振り返る。

人生で一番輝いていただろう。

僕は今後の生活に思いを馳せながら、深い深い眠りに就いた。

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孤独な革命家 リーア @Kyzeluke

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