第53話 戦いに行こう!


「父上……」


 そう呼びかけると父上は一瞬で顔を真っ青にしてギギギと音が出そうなほど不自然にこちらを向いて歪な笑みを浮かべた


 自分でも冷めた声が出たな~とは思ってる反省はした。後悔はしてない


「な、なんでしょうか……」


 だからこそ父上も下手に出るというものだ


 だからこれは必要なことだったのだ!うんそういうことにしておこう!


「狩りに行きましょ?」


 父上をゆーこーかつよーするためにこういうニュアンスを込めて言った


 この変態的な行動は母上には教えないでおくから私に従え……と


 それに対しての父上の答えは……


「はい!喜んで!」


 その居酒屋のことはよくは知らないけど、どこぞの居酒屋みたいだなとは思った


「それじゃあ母上、兄上行きましょ?」


 そう言うと母上はぼーっとしながらそうね……と言い兄上はさっきの父上の変態的な行動を見ていたのかちょっと引き気味にそうだね……と言った


 …………言っときますけど兄上の私を称える様子もあれと同じくらいキモいですよ?心の中だけでとどめておきますけど


 父上たちを引き連れてご機嫌に魔物にぶちかましに行こうとすると


 "シャル!待って!"


 とクレールが止める


 "どうしたの?"


 "武器出さないとだめでしょ?それとその装備に僕が同化できるからそうしたら防御力とかも上がるからちょっと同化させて"


 あ!と思わず声を出す。そうだった弓を試してみないとねそれと同化できるんだ


 それじゃあ一つお願いがあるんだけど……


 "服って元に戻せないかな?あの袴結構気に入ってたのに一回着るだけで終わるのはちょっと……"


 "そういうことなら任せて!ヨイショッと!それから~変身!"


 ぴょんっとクレールがぶつかって来るから衝撃があると思ってたらとぷんと服に溶け込んだ


 そして変身と唱えると服の形が変わっていく


 見てみると袴姿に戻っていた


 "すごーいありがとうクレール"


 "いえいえ~どういたしまして♪"


 それじゃあお着替えも終わったところで


「レッツゴー!」


「いやいやいや!ちょっと待って!」


 なんだよ父上……私がいい気分だったのにそれを止めて……何がしたいんだよ!ぷんぷん!


「スライムが服に入り込んだ?そして服の形状が変わった?意味がわからないもう一度やってくれ!」


 うわ~何この人。娘に向かって土下座してくるんですけどキモ~


 うわっ油断したらギャル語になってたそれぐらい衝撃的だったというか


 取り敢えず


「父上……キモい」


 父上はガーンとばかりに口をあんぐりとさせている


 いやいやいや逆にさ、どうして気持ち悪いと思わないと思ったのさ


 そのほうが意味不明なんですけど……


 まぁそんなことはどうでもいいとして!(良くないけど)魔物狩りだ~


 もはや私を止められる者は誰もいない!フハハハ!


「行くぞー!アハハ!」


 と思っていたら母上に止められた


「待ちなさい」


 なんでだ!?母上はぼーっとしていたはずなのに!


「神よ我、ハニーリアに力を貸し給え、我が力は守りのもの、わが愛しき娘を守り給えアミュレリア!」


 なんだか温かい光が染み込んでくる。とっても温かい……ポカポカする……


「これでよし、まもりの魔術を使ったから魔物にも攻撃を当てられても痛くないはずよ」


 母上は護りの魔術をかけてくれたのか……とっても温かい光だったな~また浴びたいな


「もう大丈夫かい?ハニー」


「ええ、もう大丈夫。ありがとうクロ」


 母上の調子が悪かったの父上も気にしてたんだね。焦って気にしてないのかなと思ってたよ


 まぁ話を聞くこともできるけど母上も話したくないかもしれないしましてや馴れ初めを話し始められたら面倒だからやめておこう


 本音はどっちかって?もちろん馴れ初めを聞きたくないって方に決まっているじゃん!


「シャル?行くんじゃなかったの?」


 兄上が顔を覗き込んでくる


 確かにそうだったんだけど何かぽかぽかしたら満たされちゃったって感じ?


 でも戦闘経験はしておかないとだからね。行こっかな


 サクサクっと音を立てながらみんなで歩いていくそういえばスライムたちはどうしたんだろ


 "クレール。スライムたちはどうしたの?"


 "ん~?あぁスライムたちには仕事をしてもらってるよ?僕が知りたいことがあってねそれを調べてもらっているんだ"


 ふーんそうなんだ……知りたいことってなんだろう?ピュアの国のこととかかな?それだったら私は知らないし調べてもらったほうがいいよね


 そういうことにしておこっと


 そういえばどうやって私が先導してモンスター狩りに行けているのかというと探査魔法とマップのおかげだ


 見えていない範囲のはずなのにユアーズクラフトというブロックの形に生成される敵なんかを倒したり鉱石を集めたり建造物を作れたりするなんでもござれなゲームの地図のように探知した範囲の地図が半径10キロ県内更新されていくという荒業ができているからと


 その地図の上に表示された赤い印が敵の名前であることに気づいて兄上の戦ったという一角兎を目指して突き進んで行けるからだ


 こういう楽ができるといいよね~


 ということでウサギさんはっけーん


 さあ!私の今夜の晩飯になるといい!フハハハ!

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全ては主様のために!~執事少女の努力譚!~ 冬空華 @FuyuzoraHana

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