第52話 不敬罪?

 女王シリーズってこの格好で王様とかに会ったら不敬罪に問われるんじゃないの?


 それってヤバくない?


 取り敢えず父上にでも聞いてみるか


「父上」


「ん?どうしたのかな?」


「服の名前が女王で統一されてたんだけどどうしたらいいのかな~って」


「……やはり王の名がつくのか……」


 やはりってどういうこと?


 しかしとか何かブツブツ言い出したまた考え込んじゃった


 はぁ……


「母上」


「どうしたのかしら?シャルちゃん」


「この服に女王って名前が付いてるんだけど不敬だ!とか言われない?」


「大丈夫よ。それを言うなら私だって聖女ではないけど聖女って呼ばれたり聖女の衣装を着ているでしょう?それに……」


 母上が茶目っ気たっぷりにウインクしながら唇に指を当てる


「本来なら私が聖女だったし、聖女の伴侶が王になる国もあるのよ?まぁ聖女扱いが嫌でこの国に来たんだけどね」


 母上がちょっと遠目になって何かを思い出しているようだ


「あんまり感傷的にはならないほうがいいのにね。でも思い出してしまうのよね。」


 あっこのことは秘密ね?と口止めも忘れない


 そうかぁ……母上、聖女だったのか……


 だから狙われたのかな?まぁそれはいいとして冒険者としては大丈夫ってことかな?


 ……そういえばなんだけど私ってまだ魔物と戦ってないよね……兄上は戦って来たのかな


「兄上」


「どうしたんだい?シャル」


「兄上は何と戦って来たんですか?」


「ああ、一角うさぎだよ。うさぎに角が生えていてね、突進して角で刺して来る魔物らしいけど避ければ安全と言うことで避ける練習も兼ねて戦って来たんだ。ドロップは五匹しか出なかったけどね……」


 兄上は少し悔しそうにしているけど……


 ドロップって言うのはドロップアイテムのことを言っているんでしょ?五匹しか出なかったということは何匹か狩ったけどドロップ確率が低いってことかな?


「ちなみに何匹と戦って来たんですか?」


 兄上はうーんと少し悩んでる様子だったけど指を折って数えているようだ


「多分十二匹だったかな?」


 ドロップ確率としては5割切るぐらいってことかな?でもやっぱり試してみないとかな


「私も戦ってみたいです」


「うーん……」


 おや?てっきり駄目とすぐに言ってくるのかなと思ったけど考えてくれているようだ


「うん……僕だけだと危ないから父上か母上と一緒ならいいんじゃないかな?」


 父上か母上って言われたらそりゃ


「母上かな」


 父上は何かまだ学説が~!とかなんとか言ってるしね


 母上のほうがまだ思い出にトリップしているだけだし常識人だから大丈夫かなって


 それじゃあクレールを連れて行こっかな


「クレール」


 "行くの?ワクワクするね!僕の初めてのセントウ!アハハッ!"


 クレールって意外と戦闘狂?


「母上」


「…………はぁ……」


 母上はまだ過去にトリップしているみたいだ


 時折はぁ……とため息をついては暗い顔をしている


 母上を優先したほうがいいんだろうけど子供に我慢はできませーん


 ということで……


「は・は・う・え!!」


「きゃっ!?」


 ガバっと抱きつきました。それにしても……


 こういう時きゃっって言う人すごいよね予想外からの驚きの声ってその人の性格出そうだし


「母上、父上は放っておいて魔物と戦いに行きましょう」


「え、あ、そ、そうね」


 母上はちょっと混乱ぎみっぽい


 まあそんなことは知らんがなですけどね~


「さっ行きましょう!母上」


「ええっと魔物と戦うのはクロと一緒にしましょう」


 おや?母上らしくないねいつもならすぐにそうね!行きましょう!って感じなのに


 それだけ過去に引きずられているってことかな


 まぁとりあえずは父上を打って正気に戻してから魔物狩りにでも行こっかな


 そう思って父上の方を向いてみると小さなスライムたちに頭突き?をされて嬉しそうにニヤニヤとしていた


 ……父上ってドMだよね……キモい

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