第51話 擬態と女王


「ぐはっ!!」


 父上は私の発言と冷たい視線でもうHPはゼロだ


 まぁそんなことはどうでもいいとして……


「クレール大きいね。小さくはなれるのかな?」


 もし無理なら一緒に出歩けるのは広い場所だけだろうな


 "うん!もちろん小さくもなれるし擬態もできるよ!"


 ……擬態?


 "うん。見たことがあったり自分の知識にあるものは正確にイメージできれば何にでもなれるよ"


 なんでもってなんでも?


 "うん!例えば……シャルになってみるよ"


 えっ……私に?


 そう言うとクレールはグニョグニョと動き出し徐々に人型になっていく


「どう?これでシャルになれたよ?」


 人形のときは色がついていなかったけど今回の擬態?はちゃんと色も付いているし声まで一緒だ


 でも一つだけ違うことがある


 それは……


「王冠のマークがついているね」


「えっ?……あっホントだこのマークの位置も変えられる……うん!変えられるね」


 そう言ってスルスルと王冠のマークを服の下の多分体のところに移動させたみたいで見えなくなった


 それで私ができることができればいざというときの父上たちから逃れる手段になりそうだけど……


「歌は歌える?」


「うーん多分無理かな~スキルはコピーできるみたいだけどユニークスキルはコピーできないみたい」


 ふうんそうなんだ……固有スキルはどうなのかな?


「固有スキルは大丈夫みたいだから飛ぶとかブレスとかはできるみたい」


 なんでまたドラゴンみたいな例を出すんだろう?ドラゴンにもなれるってこと?


「うん!なれるよ~なって欲しい?」


 どことなくワクワクしていて期待をしているみたいだ


 うーんなりたいならなってみて


「うん!それじゃあ!」


 またグニョグニョと動き出し体の形が変わりどんどんと大きくなっていく


 そして……


「グオー」


 と咆哮した


 わたしを何人も載せれそうなほど大きな体の立派な白金のドラゴンになっていた


「「「なっ!?」」」


 流石に父上たちも気づいたみたいで急に現れたドラゴンに驚いているようだった


「シャル~どうかな?僕上手に変身できたよ~」


 だが、クレールはそんなことはどうでもいいみたいでぺたんと座って長い首を私と同じくらいの高さまで下げた


 私はクレールは顔を撫でる


 うん爬虫類の独特の感じと鱗のすべすべがいい塩梅だ


 クレールはグルグルと喉を鳴らしながら目を細めて心地よさそうにしている


「あー気持ちーあ、そこそこ。いいねー」


 私が気が済むまで撫で終わるとクレールはまたグニョグニョと変形し、最初のスライムの形になった


 "シャル~どう?僕頑張ったよ~"


「偉い偉い」


 そう言いながらクレールを撫でるモニュモニュしてて気持ちいい


 これは飛び乗ったら最高なんじゃない?


 でも王冠があるから刺さったら痛いよな……


 "あっそうだシャル!僕の王冠を被ってよ"


 王冠を?クレールのものじゃないの?


 "確かに僕のものだけど僕の種族はキング種なんだだから王冠が出てくる。その王冠を主様に被ってもらえばもっと主様に役に立てると思うんだ"


 なんでそんな自信があるんだと聞きたいけどクレールは笑ってばかりで応える気はなさそう


「分かった」


 "ありがとうシャル!"


 了承を示せばクレールは本当に嬉しそうな声で感謝を伝えてくる


 そして触手で王冠をとると私に載せてくれる


 すると私の体が急に光る


 それは嫌な感じはせず、ただただ温かいだけだった


 そのポカポカを受け入れるとどんどんと力が湧いてきた


 そのまま受け入れていると突然光が消えた


 そしてそれ以上に驚いたのが私の服が変わっていること白と金色のドレスになっていた


 私はもしかして目も金色になってないかと思って泉に向けてしゃがんだ


 するとそこには茶色の目をしたきらびやかなティアラをしたあどけない少女がいた


 いつもキリッとした顔をしようとしていたがこの姿ではキリッとしてもかっこよくない諦めてキリッとした表情を崩してみると可愛らしい少女だ


 もしかしたら女神もいつもはキリッとした顔を頑張ってしているのかもしれない


 そんなことはどうでも良くて服装が変わっているのかなメニューから装備を見てみようかな


あたま 女王のティアラ

からだ 女王のドレス

あし  女王のタイツ

くつ  女王のブーツ

マント 女王のマント

アクセサリー1 女王の耳飾り

アクセサリー2 女王の指輪

アクセサリー3 女王の腕輪


 ワオ……女王シリーズって感じですかね


 "うん!かわいいね~。その装備は僕が取りつけるからさっき入手した防御系のスキルとかをつけることも可能だし、何なら僕が死ぬまでその装備は破損しても回復するよ"


 ……それってすごいことじゃないの?


 "うん!すごいことだよ!僕すごいでしょ?"


 うん。すごいねありがとうクレール


 私はクレールに抱きついてよしよししてあげる


 そうしていると後ろから抱きついてくる人がいた


「シャル!かわいいわ~!」


「母上……ありがとう」


 ……ちょっと嬉しい


「王が主に王冠を渡した?そんなことがあるのか?」


 父上はまた何かブツブツ言ってる


 どうせまた学説が~とかなんとか言っているんだろう


「ああ!神よ!これほどに尊い存在を僕の妹にしてくださってありがとうございます!」


 兄上はまたキモくなってる


 あーあうっざ


 でも、まっそれもいいかもね

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る