第50話 スライムは分裂します
これからはビシバシしごかれるだけだろうと思ってそういえばクレール静かだなと思って振り向いてみたわけです。すると、
何ということでしょう最初手のひらサイズだったクレールが一抱えくらいになったと思っていたら私の2、3倍の大きさになっているではありませんか!
あっもちろん高さのことだよ?横幅なんて失礼なこと考えてた奴出てこいや。あ゛?
"あっシャル!ようやく気づいた?水を盛り込むと魔力が増えて大きくなったみたい。今なら分裂できると思う!"
は?分裂?えっ増えるの?えっそんなに名前考えられるかな?心配するとこそこ!?って思っているかもしれないけどうちには大量に部屋があるし何なら私の部屋とっても広いからそこにいさせればいいかなって
"それじゃあ増えるね~"
「えっちょっと待っ……」
ピカーン
ぎゃあ目があぁ!
私は目を腕で覆ったが一足遅かった
目が……目が見えないっ
「これは圧巻ね」
そう言いながら母上が後ろから近づいてきた
私の横くらいまで来たかなと思うと呪文を唱える声が聞こえて温かい光で覆われて目が見えるようになった
パチパチと目を開いたり閉じたりしながら周りを見る
すると人をダメにするソファくらいの大きさの王冠を載せたオパールのようなスライムと12のカラフルな色をした一抱えくらいのスライム、そして60のカラフルな手のひらサイズのスライムだった
そして一際大きい王冠を載せたスライムが念話してくる
"シャル!見て見て!僕の配下が増えたよ!属性は12属性のスライムたちみたいそのスライムの配下に5つずつスライムがいるみたい!"
…………は?
取り敢えず12属性ってなんだよ!ってブチギレてる人のために言うと6の属性とその上位属性ってところだね
6の属性は火、水、土、風、光、闇
その上位属性が炎、氷、植物、雷、聖、暗黒
おい、時空間魔法はどう説明するんだよという人のために言うと無属性に限りなく近い属性かな
無属性は魔力がある人なら誰にも使えるから理論上は時空間魔法も誰にも使えるのだけどその存在を知っていないと無理
更に言えばマジックバックを作れる職人は各国に宮仕えしているから情報を誰にでも教えないじゃないと独占状態を維持できないからね
そんなことで説明を終わるけど12属性全てにスライムって適応するんだ……いても6属性だけだと思ってたのに
それに配下の配下?分裂したのはその一回だけなのに三段階にもう配下が作られているってどういうこと?
というか……あーもう!意味がわかんない!
「クレール?だよね?」
"うん僕がクレールだよ~他の子は僕が名付けしておいたよ僕の部下であり僕の一部でもあるからね"
どういうこと?
"うーん。つまり、彼らは自我があるけど僕の一部でもあるから例えば王を殺して俺が王になると思ってもそのことは筒抜けって感じかな?"
ふむふむそういうことか
「シャル……その子達はシャルのテイムモンスターなのかな?」
父上が急に話しかけてくる。びっくりした
というか武器構えてるから討伐しようとしてる?……止めなきゃ
「クレールが分裂したみたい」
すると父上は驚きの表情を浮かべる
なんでだろう?
「な!?もう分裂したのかい?」
どうやって……とかブツブツ言い始めた
「水を吸い込ませたら魔力が増えたとかなんとか言ってた」
「魔力?……もしかして!」
父上は怪しげな顔をしたかと思うとはっとした顔をして泉の水を飲んだ
「ウッ!!やっやはりそうだったのか……」
父上は口元を抑えて吐きそうな顔色をしながらそうだったのかと繰り返してる
取り敢えず吐かせるか
そう思って腹にワンパン食らわせようと思うと母上が近寄っていって介抱しだした
「もう!魔力の泉の水を飲むなんて!」
魔力の泉?なんだそりゃ
ぼーっと介抱されているのを見守る兄上に話しかける
「魔力の泉って何ですか兄上?」
「ん?えっとね。確か大量の魔力を含んだ水みたいだよ。飲むと吐き気を催して最悪の場合は体の穴という穴から血を吹いて死ぬらしいよ」
あっけらかんとした顔で言ってるけどその水父上飲んでますけど?
「更にいうとその人たちは魔力過剰保有状態になっていて病気としての魔力過剰保有症は魔術を打てばいいんだけどいかんせん魔力が多すぎるから暴走してしまうんだ。でもこの魔力の泉の水を飲むと自分の魔力として操れなくてそれを出そうとして吐くらしいよ」
だから止めようがないんだよね~と言いながら兄上はいい気味だとでも言いたげなように嗤っていた
何か兄上は父上に恨みを持っているらしいヤバくない?いつか父上、兄上に殺されちゃうんじゃないの?
まぁ死なない程度なら観戦しておこうかな
息の根を止めようとしたら私も流石に止めるけど
っていうかこんな恨み買うようなこと父上は兄上にしているのかな?父上は甘々なのに?嫡男だからかな?ご愁傷様です。死んでないけど
そう考えると女として生まれてよかった?いや、主様に女執事を連れていると嘲笑われたくないからやっぱりそうだとしても男に生まれたかったかな
はぁ……主様……何処に!
「わ、私の考えが検証されたんだ!」
は?私の嘆きを邪魔するなんて父上許せん
いくらか吐いたのか気持ち顔色が良くなった父上
「学説では魔力の泉は人間に対しての罠という扱いだと思われていたんだ。だが僕はそれにしてはわかり易すぎると思っていたんだ」
ふうんそんな学説があったと確かにわかり易すぎるかもね
「今見てわかったよ魔力の泉の水はスライムを増やすための装置だったんだ!スライムは魔力の泉のそばによくいるからね。他の魔物も水分補給には集まらないだろう?」
そうなのかなと思っていると母上も確かにという。ほんとに他の魔物は現れないんだ
「しかも!魔力の泉はスライムの出る層によく見つかる」
そうなんだ……へえーじゃあなんで今まで分からなかったんだろう
「なんでそれが他の人には分からなかったんですか父上?」
そう言うと父上は目をキラキラとさせながら腰に手を当てる
「それはつまり……誰も興味を持たなかったからだよ!」
「……へ?」
「冒険者はまずそんなこと知るかって倒すだろう?そして研究者はもっと強い魔物の未知の情報を!って思っているからね」
……そんな理由で?
「おもんな」
白けた目を私はしていると思う
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