第13話 三人で上書き

 俺は湯船に浸かりながら、何とも言えぬ感慨にひたっていた。

 何でもなかった俺の日常が大きく動き始めている。

 これからどの位の期間この共同生活が続くのかは分からないが、少なくとも二人を襲った犯人達が捕まるまでは続くだろう。


 そんな共同生活相手の二人からは好意を寄せられているが、現状答えを出す事はできないし、出すべき時でもないと思っている。

 この共同生活を通して二人と触れ合う中で答えが出ればいいなと思う。


 暫くゆっくりしてから湯船から出て、少し入念に身体を洗い、風呂から出た。

 寝室でもう待っているのか、二人はリビングには居ない。


 これからの展開を考えて期待半分、困惑半分というところだが、意を決して二人がいるであろう寝室の扉をノックする。


「柊、藤宮さん、入ってもいいか?」

「「どうぞ」」


 寝室の扉を開けると、ベッドの上に黒のネグリジェを着た柊と、白のネグリジェを着た藤宮さんが座っていた。

 昼間に藤宮さんが刺激的な格好をしていたこともあったので、少し覚悟していたが、二人ともまともな格好で少し安心する。


「冬夜さん、じゃあ私達の真ん中に寝てみますか?」

「ああ、じゃあそうしようかな」


 ベッドはダブルベッドのようで、俺達三人がくっついてギリギリ横になれる程度だった。

 ベッドに横になると、柊と藤宮さんの両方から甘やかな香りが漂ってきて脳に突き刺さる。


 すると、柊がベッドから降りて、天井の電気を消して間接照明にした。


「太一、分かってると思うけど、今日は私達二人同時に上書きして欲しいの」

「いや、でもそれって柊も藤宮さんも恥ずかしくないのか?」

「樺恋は親友だし、一緒にシても私は問題ないわ」

「私も恥ずかしくありません」


 最近まで童貞だった俺からすれば、3Pなんて物凄くハードルが高いもののように感じるんだが、女の子的にはそこまでなんだろうか。


「分かった。俺一人で二人を満足させてあげられるか分からないけど頑張るよ」

「やった♡」

「よろしくお願いします♡」


 二人がかりで俺の服や下着を脱がせてくれ、俺もたどたどしくではあるが、二人を脱がせる。

 そして、再び三人でベッドの上に横になり、抱き合った。



「はぁ……はぁ……ヤバい、マジで疲れた……」

「お疲れ様、気持ちよかった♡ でもこんな贅沢してるの太一だけだと思うよ?」

「冬夜さん、ありがとうございました。気持ちよかったです♡ 明日は双葉ちゃんの番で私はできないんですけど、また明後日よろしくお願いしますね♡」

「まあ二人が満足してくれたんならよかった。俺はもう限界だ、おやすみ」

「「おやすみなさい」」


 その日は翌朝まで三人で抱き合って眠った。



「太一、いい加減起きなさいよ」

「冬夜さん、遅刻しますよ。起きて下さい」


 目を覚まして時計を見ると8時。

 完全に遅刻コースだと焦るが、ここが柊の家だと思い出し、安堵する。

 柊の家から学校までは5分程度なので、まだ焦る時間ではないはずだ。


「実は私もギリギリまで寝ていたので朝食の準備ができていないんです。今パンだけは焼いてるんで、よかったら食べて行って下さい」

「ああ、ありがとう」


 制服に着替えて顔を洗って歯を磨いてから、少し急いでパンを食べた。

 

 そして、準備が整った俺と藤宮さんが先に玄関から出る。

 しかし、柊が少し待っても玄関から出てこない。


「柊、早くしないと遅刻するぞ?」

「………………」


 柊から返答は無く、気になった俺は玄関を覗いてみた。

 すると、柊が膝を抱えて下を向いている。


「いざ外に出るとなったら怖くて……今日学校行けないかも……」


 顔を伏せていてよく見えないが、泣いているようだ。

 すると、後ろからもすすり泣きが聞こえてくる。


「冬夜さん、私も我慢していたんですが、外に出るの本当は怖いです……冬夜さんがいれば大丈夫だってことは分かってるんですが……」


 俺は二人を守ってあげなければとそればかり考えていたが、それよりも大事な二人の精神状態を配慮できていなかったと思い知った。


「二人とも、ごめんな……」


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*更新が遅れてしまい、申し訳ないです。仕事が忙しく、平日の更新が難しくなってきました。できる限りアップするように頑張りますので、これからもよろしくお願いします。


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男性用公衆トイレで好きな子の親友を拾いました 碧井栞 @_yokku

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