第11話 部外者は帰りたい
よく考えてみたら俺は部外者だ。ここでこの問題に深入りする理由なんてどこにもない。今まで館から出なかったのは、殺人犯がうろついているから怖いと言うだけの事。ソラが一緒について来てくれるなら心強いし、これで安心してこの恐怖の館から脱出出来るってものだ。
そう結論付けた俺は、隣に立つ好青年の顔を見る。
「あの、俺……帰っても……? それと、一緒にソラさんも帰りませんか?」
「そうか。うん。君はこの件に全く関係ないものな。分かった、館の外まで送ろう」
こうして、頼り甲斐のある優秀なボディーガードに先導してもらい、俺は館の玄関まで歩いていく。殺人犯を目にしていたら犯人は俺を逃さないだろうけど、幸運な事に俺は怪しい人物をちらりとも見ていない。俺が殺される事はほぼないだろう。
まぁだから、ソラについて来てもらっているのは保険みたいなものだな。うん。
2階から1階へと、俺達は螺旋階段をゆっくり降りていく。今のところ、何も怪しい気配は全く感じられない。これで無事に帰れると言う事で、俺もすっかり気が緩んでいた。
2人共無事に1階に降りたところで、前を歩くソラがくるりと振り返る。
「僕は君を玄関まで送ったらそこで引き返すよ。ツアーメンバーを見殺しには出来ないからね」
「あ、はい。それでいいです。1人で帰れます」
「そっか、良かった」
彼は俺の返事を聞いて安心したように優しそうな笑顔を見せ、また顔を前に戻した。目指す玄関は後もう少しだ。このまま何も起こりませんように。
――と、その時、突然俺の背中に激痛が走る。
「がああああっ!」
「ハルト君? ハルト君!」
あまりの激痛に気を失い、俺はそのまま前のめりに倒れてしまった。もしかしたら背中に矢が刺さっているのかも知れない。それと、多分その矢には毒も盛られているのだろう。そこから俺の体がもう二度と動く事がなかったからだ……。
でも……何で俺、殺されたんだろう。やはり死体を見しまったから? ああ……もうそんなのどうでもいいや……。
館からの脱出途中で背中に矢を受けて死亡エンド
もう一度最初から
https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330648990233938
このエピソードの最初から
https://kakuyomu.jp/works/16817330648988682894/episodes/16817330649028955548
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