〈番外編〉1章ダイジェスト座談会(※ネタバレ注意)

リュウ:「えっと、み、みなさん、こんにちは。『ししゃつか』の主人公(?)、リュウアンです。今日は1章のまとめをしてほしいと頼まれたので、ふつつか者ですが・・・・・・」

セイ :「リュウ、緊張しすぎ」

リュウ:「だって、こんなの初めてだし」

エル :「お前、クラン長リーダーだろ。しゃんとしろ」

リュウ:「すみません・・・・・・」

ネオ :「まあまあ、すぐに慣れるよ。そんなに尺もないようだし、はじめよう」

リュウ:「そうだね。えっと、まずはこの物語の始まりだけど・・・・・・」

セイ :「リュウが森の中でじ」

リュウ:「あー!!」

エル :「なんだ?」

リュウ:「なんでもないです! 始まりは、僕がひょんなことからセイを蘇らせたんだよね!」

セイ :「・・・・・・うん」

エル :「2人は幼馴染だったんだよな」

リュウ:「はい。僕が8歳、セイが10歳の時に、母の地元のエミュスで出会いました。セイは美人で、強くて、ユニークスキル持ちで、家柄も良くて」

セイ :「・・・・・・」

リュウ:「と、とにかく、僕の憧れだったんですけど、14歳で死んでしまったんです」

ネオ :「セイさんが亡くなったのは8年も前だよね。リュウはそれからどうやって生活してたの?」

リュウ:「少し経ってから諸事情でエミュスから出て、1人で生活してた。僕は小さいころから魔法が使えなかったから、冒険者のチームに雑用係として雇ってもらって生計を立ててたよ」

エル :「魔法が使えないのに、ユニークスキル持ちだったとはな」

リュウ:「僕も最初は信じられなかったです。あっ、えっと、【ユニークスキル】っていうのは、魔力量が多い人に現れる特別な力のことで・・・・・・僕は『呼び戻す者サモナー』という、死者を蘇らせることができるユニークスキルを持っていたんです。セイとエルさんもユニークスキル持ちで・・・・・・」

エル :「私は『飛ぶ者フライ』。鳥になれる」

セイ :「『狙う者スナイパー』。どこからでも魔法を発現させられる」

ネオ :「リュウが魔法を使えないのは、ユニークスキルの制約だったんだよね」

リュウ:「うん。『呼び戻す者サモナー』は消費する魔力が多いから、その分、僕は他の人よりも魔力量が多いらしいんだ。それで、自分では魔力をコントロールできないらしくて・・・・・・」

エル :「それ以外にも制約があるよな」

リュウ:「はい。僕が蘇らせることができるのは『強い未練がある死者』に限ります。未練が晴れたら消えてしまうらしいです。セイの未練は、セイを殺した犯人に復讐することで・・・・・・あっ、ここにいるエルさんも実は僕が蘇らせてるんですよ」

エル :「ああ。ネオが頼んだらしいな」

リュウ:「はい。ネオとは、僕がセイを蘇らせてからわりとすぐにミルドランドのギルドで出会ったんだよね」

ネオ :「エル様が亡くなった後は、軍を辞めて冒険者として活動してたんです」

エル :「ディノ・スチュワートに会いに行こうとしてたらしいな?」

ネオ :「それは・・・・・・1人で何が出来るわけでもないってことはわかっていたんですが」

リュウ:「えっと、まずはディノ・スチュワートの説明をしなきゃですよね。彼は、8年前にセイを殺した張本人で、セイだけじゃなく、各地で起こっているユニークスキル持ち連続殺人事件の容疑者でもあるんです」

エル :「容疑者じゃない、犯人だ。奴は私の友人も殺した」

リュウ:「親友を殺されたエルさんは、各地に出向いて調査した結果、犯人がディノ・スチュワートだと辿り着いて、殺されてしまったんですよね」

エル :「ああ。飛行中に狙撃された」

ネオ :「私はもとは軍で文官として働いていて、エル様の補佐をしていました。なので、エル様が亡くなった時、すぐに口封じで殺されたんだとわかったんです」

リュウ:「それでネオは、ディノ・スチュワートがいるベリージェに行こうとしてたんだよね」

ネオ :「うん。自分じゃ力不足だってことはわかってたけど、何もしないでいることはできなくて」

リュウ:「ネオ・・・・・・」

セイ :「で、私達の目的とネオの目的が合致したから一緒に行動してて、ベリージェに行く前日に、リュウがエルを蘇らせた」

ネオ :「リュウが私の頼みを聞いてくれました。その節は本当にありがとう」

リュウ:「そんな」

エル :「私からも礼を言う」

リュウ:「とんでもないです! エルさんがいなかったら、僕達今頃どうなっていたことか・・・・・・4人でベリージェまで行った後も大変でしたね」

エル: 「ああ。そう簡単にはディノ・スチュワートには接触できなかったな」

リュウ:「はい。2人の仇であるディノ・スチュワートは世界ランク1位のクラン『勝者のクランウィナー』のクラン長リーダーなんです。まさに雲の上の存在っていう感じで、ベリージェに行ったら会えるってわけじゃなかったんですよね」

ネオ :「クラン長としての行事には参加するようなので、僕達もクランを設立することにしました。」

リュウ:「ちょうど1ヶ月後にクラン総会っていうのがあって、それに参加するために急いで準備を進めたよね。2週間でなんとか必要なものを揃えて作ったのが、『追憶のクランメモリアル』。ぎりぎり期限に間に合って、僕とセイでクラン総会に参加しました」

セイ :「顔を見て、私を殺したのはあの男だってわかった」

リュウ:「それまでは、ディノ・スチュワートに関して謎が多くて、セイを殺したのが本当に『勝者のクランウィナー』のディノ・スチュワートなのか、確信がなかったんです」

エル :「謎っていうのはユニークスキルのことだよな。確かに、どんなカラクリなのか・・・・・・まあ、それを話すと長くなるから割愛しよう」、

リュウ:「そうですね・・・・・・それで、クラン総会を終えてから、僕達は本格的に『追憶のクランメモリアル』としての活動を始めました。まずは、クランハウスの借金返済のために、なんとしてでも依頼を集めないといけなくて」

ネオ :「最初は地道に依頼をこなしてましたね。でも、おかげさまでどんどん依頼者が増えていって、途中で人手が足りなくなるほどで」

リュウ:「復讐のためには僕のユニークスキルについてバレるわけにいかないから、人を増やすことには慎重になってたけど、新しく加入してくれた双子のミーシェとオルフには今のところ勘づかれてないよね」

ネオ :「うん。リュウ達とは完全に別行動だし、顔も隠れてるからね」

リュウ:「あっ、僕達普段は鬼の面をしてるんです。『追憶のクランメモリアル』の制服ユニフォームで・・・・・・これなんですけど、結構リアルで怖いですよね。子ども達には泣かれちゃうし、いつもちょっと申し訳ない気持ちになります」

(気になる方は、近況ノートの表紙絵へ)

エル :「だが、そのおかげで絡んでくる奴も少ないからな。助かってる」

リュウ:「確かにそうかもしれないですね・・・・・・ああ、えっと、それで、借金を無事に返済した後は、双子が持ってきた『赤竜レッドドラゴン討伐』の依頼を受けたんです」

セイ :「そこで、ディーを蘇らせた」

リュウ:「僕達じゃ勝てる見込みがなくて、竜殺しドラゴンスレイヤーで有名だったディエゴ・デトロイト、僕達はディーさんって呼んでるんですけど、彼を蘇らせました。そしたらもう一瞬で倒しちゃって・・・・・・そういえば、ディーさんは?」

ネオ :「上で寝てると思う」

リュウ:「自由だなあ・・・・・・」

エル :「『赤竜レッドドラゴン討伐』のおかげで名が売れて、大きい依頼が増えたよな」

ネオ :「はい。あの依頼がきっかけだったのは間違いないですね」

リュウ:「専属契約、えっと、クランは貴族と契約を交わして後援を受けられる仕組みがあるんですけど、僕達『追憶のクランメモリアル』はジャッキー家と契約を交わしたんです。そこに至るまででたくさんの依頼をいただいて、2ヶ月に1回発表される中間発表で国内ランク10位になれたんです」

エル :「それで、クラン上会リミテッドに参加できることになって、5人で行ったよな」

リュウ:「はい。ディノ・スチュワートも参加してて、緊張しました。クラン上会リミテッドの直前に、復讐の内容について初めて話し合ったんですよね。セイは『一発くらいぶん殴りたい』、エルさんは『これ以上の被害者を出さないために、暗殺の事実を認めさせ、償ってもらいたい』」

ネオ :「そのために、まずは情報収集をすることにしました」

リュウ:「・・・・・・この先の話は2章ですね」

セイ :「リュウが倒れた」

エル :「そうだ、ミルドランドにも行ったじゃないか」

リュウ:「ああ、えっと、僕が倒れたのは疲労とかそういうのでたいしたことなかったんですけど、クラン上会リミテッドの後にミルドランドに行きました。ミルドランドにはユニークスキルについて詳しい人がいるんですけど、その人にディノ・スチュワートのユニークスキルと、僕の力の制約について聞くために」

ネオ :「わかったことは、1人の人間が2つ以上のユニークスキルを持つことはないっていうことと、リュウが蘇らせることが出来る人数に制限はないってことなんだよね?」

リュウ:「うん、そう」

エル :「・・・・・・よし、これで1章の振り返りは終わりだな。せっかくのオフなんだ、服を買いに行く。セイ、付き合え」

セイ :「えっ・・・・・・」

リュウ:「行ってきなよ。僕は家で過ごしてるから、心配しないで」

エル :「ほら、こう言ってるんだし、行くぞ」

セイ :「ちょっと・・・・・・」



リュウ:「2人とも行っちゃったね。ネオは用事ないの?」

ネオ :「うん、ここで作業してるよ」

リュウ:「何か手伝うよ」

ネオ :「大丈夫。リュウはゆっくり休んで・・・・・・ねえ、リュウ」

リュウ:「なに?」

ネオ :「何か隠してない?」

リュウ:「えっ・・・・・・いや、別に何も」

ネオ :「それならいいけど。悩みとかあったら相談乗るからね」

リュウ:「うん。ありがとう」

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【表紙絵あり】死者使いの追憶 湯湯菜吏 @s-yutou

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