第11話 みんな!
放浪の旅から一年、ようやくアルベル・ルーブル国に、兄さんの元に、ユキ姉さんの元に、カグラの元に帰ってきた。
皆の心地よい気配が入る。ユキ姉さんを見つけ早速抱き着いた。
「ユキ姉さん!会いたかったですよ!1年・・・・、1ねん我慢致しました。不肖イブキ、1年我慢できました・・・・・。姉さん、姉さん! ウワーーーーン!って・・・・・・・」
“えっ”
“姉さんと、もう一人・・・・”
姉さんのお腹から不敵な気配が私に向けられる。姉さんのお腹が私に語りかける。
“なになに、お腹さん曰く、お母さんに気安く触るな!”
“なになに、お腹さん曰く、お前ごときが、お母さんに気やすく話しかけるな!”
“なになに、お腹さん曰く、高貴なお母さんの前で、なに突っ立っておる、ヒレ伏せい!”
私はユキ姉さんのお腹からのメッセージを確かに受け取った・・・・・・。姉さんは苦笑している。
『そうなの、イブキちゃん、あなたの甥?が宿っているの』
「えー!」
兄さんも来た。私は早速抱き着いた。臭いを嗅いだ。あー落ち着く。
『イブキ、よくぞ戻った! お前の噂、しかと聞いていたぞ、派手に暴れまわっていたな。お前にあえては聞かないが、見つかったようだな!ヤスケやサモンジも待っている。そして白狐もお前に会いたがっている』
そこには笑顔?笑顔だ・・・を満面に浮かべたゲンジ兄さんがいた。
「・・・・・。10文字以下で交流をはかる兄さんから、いきなり94文字も賜った、しかも笑顔っすか? しかも、しかも、私が放浪の旅を、修行の旅をこなしている間に、姉さんと子作り・・・・・・」
『やあ!イブキ、帰って来たね!』
『イブキ、イブキ、なんか目が怖いんだけど、・・・・・、何その得物をみるような目、今会ったばかりじゃないか』
『や、やだ、イブキ、ちょっと!』
「カグラー!!!ええい、また遅れをとったわ、兄さん姉さんはいつも一歩先、既に百万光年先に行かれておる、いまだその輝く背中に追いつけないわ!時は金なり、カグラ!!!子作りじゃ!!!」
『な、なに、なに・・・・、イヤー!!!』
スミレの野原
逃げるカグラ、追う私。
やっと、やっと帰って来た。
私のホーム、私の生きがい、私の朝日、私の故郷・・・
カグラを追いかけながら、ヤスケ、サモンジ、イブキ組のみんなのエッジの効いた気配を察知した。
エスワットさんの天然お嬢様の気配も察知した。
勇者シャルロットとお姉さま達もこっちに向かっている。
白狐はもう私のマントのスミレワールドに転移してきたのが判る。
みんな、ただいま!
「イブキ外伝」 完
イブキ外伝 @METAIBUKI
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