血の夢
光模様
第1話
気がつくと、白壁の建物の前に立っていた。入ってみると、中には個室が島のように並んでいる。何かのお店らしい。廊下は広く、余裕のあるつくりだ。入り口で立ち尽くしていると、直ぐに入り口に一番近い部屋のドアが内側から開き、それと同時に曲がり角から現れた男性にその部屋へ案内された。部屋の奥の左手にはダブルベッドが並び、シーツ、枕を含む調度品は白を基調にフリルやハートが多め。甘ったるい雰囲気だ。尿意を覚えてトイレを探したが、ラブホテルみたいな部屋にも関わらず、シャワー室もトイレもない。いや、トイレはあるにはあるのだが、部屋に入って右手、床の間のように一段高くなった壁際に、花瓶のように花がぎっしりと挿されている。お飾りのトイレだった。
部屋の奥に探索を続けると濡れ縁を発見した。右側に前栽と塀があり、濡れ縁を真っ直ぐ進んで右に曲がると、開放された障子から広間が見える。しかしその手前に暗血色の液体のようなものが宙を浮き、触手を伸ばすように常に形を変えている。
異常なものであると認識した私は来し方へ身を翻して走る。通り道にあった、行きでは閉まっていた障子が開いており、そこからは精神を侵された女たちが半裸で笑っているのが見えた。背後からは生理の経血が襲ってくる。どこへ逃げる。
血の夢 光模様 @inwater
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます