第11話 旅の終わりに寄せて

 自宅に帰ってから数日後、旅行代理店から手紙がやってきた。

 現地でドイツ⇨ローマ便の遅延情報の伝達ミス、並びにトランジット失敗を旅行代理店側が把握ができておらず、結果ツアー客を待たせてしまったことを詫びる内容だった。

 謝罪と共にギフト券が入っていたのを覚えている。

  


 後にも先にもこれ以上記憶に残るクリスマスを過ごしたことは私には無い。ぶっちゃけドイツに行った思い出よりも帰り道の方が強烈に記憶に残っている。

 海外旅行にトラブルはつきもの。ましてトランジットとなると、旅慣れた人からすれば失敗するのも普通のことなのかもしれない。

 ツアーだと言っても添乗員に全てを任せきりにするのは危険だなと思った。

 最低限、何か起こった時に対応できるだけの準備と心構えはしておいた方がいいだろう。

 日本ではなく、言葉さえも通じない異国の地で頼りになるのは己のみである。

 しかし、過ぎてしまえばいい思い出だ。

 このコロナ禍の昨今、自由に海外旅行に行けなくなってしまった世界では、この時のことすらも「楽しかったなぁ」と言える。当時はそんな余裕なかったけど。

 再び自由にどこへでも行けるような世界になったなら、また海外に行きたいなとぼんやりと思う。

 そしてその時は、個人旅行で行くか、添乗員が最後まで同行するツアーにしようと思っている。

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ドイツ旅行をしたら帰りにイタリアの空港に置き去りにされた話 佐倉涼@4シリーズ書籍化 @sakura_ryou

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