とある妖精の一日 妖精だって頑張ってる!

紫陽花の花びら

第1話

 私は弟の創にお話を聞かせるのが大好き。創も楽しみにしている。さあ今夜も始まるよ。

✴  

 妖精の国ベルレーナ。

沢山ある妖精の国の中で、ここベルレーナは歌、ダンス、お芝居、ご本を作る国。今朝も妖精は一生懸命お仕事を為ているよ。

 ここから何か聞こえてくるよ。

「だから、この歌はこのダンスに合わない」

「どうして? 私は良いと思うよう」

そう言うと、桃色の羽を付けた妖精が楽しそうに飛び始めた。

それを呆れて見ている水色の羽を付けた妖精。

「あのさ、ハロウィンでみんなを驚かすのに、可愛い曲は合わない! もっと怖くて、もっと恐ろしのにしないと」 

突然創君が手をあげた。

「えっお姉ちゃん! 僕お話の中にいるの?」

「そうよ。今夜のお客様だもの

質問でも何でもして」

「やった!」

創君は立ちあがると、

「はい! 質問!」

「はい! どうぞって、あなた誰?」

「僕、人間の国からきました。

創です。よろしくお願いします」

「今日もお客様がきてるんだ。よろしく。ところで質問って?」

「あの、妖精さんたち一日中お仕事してるの?」

「勿論。特にお祭りがあるときは一日中しているよ。音楽決めたり、ダンスを考えたり、もう楽しい事一杯考えるんだ。それにご飯だって食べるし、昼寝もする。後おやつ! 寝る時間は九時。

夜から朝まで仕事する妖精と交替ね」

「大変だね」

「うーん、でも、僕たちがこうやって考えた事を、悩んでいる人間さんたちの頭の中に落としていくんだ。そうするとそこから色々なお話や音楽、ダンス、お芝居が生まれる。その時のみんなの嬉しそうな顔を見ると、またやるぞって思うよ」

そっかぁ、そうやって素敵なものが出来あがるんだ。

「また質問! それは僕にも落としてくれるの?」 

妖精は笑いながら

「勿論! 良いこと考えた! とか、閃いたとかあるでしよ! それそれ、ただしそれをどう素敵にするかは君次第。僕たちも毎日仲間と色々話しながら、少しでも素敵なキラキラを考えているんだからね」

「そうなのよ。どんな小さなキラキラでも、これだって喜んでくれると嬉しい! そしてそのキラキラを忘れないでいると、突然大きな大きなキラキラに変わったりするの。それを見るとまた嬉しくなって頑張る!」

リリリンリリリン。

「何?」

「お昼ご飯だよ。一緒においでよ」

妖精が手を取ると僕はスーッと舞い上がった!

「凄い綺麗!」

桃色と水色が一杯フワフワしている。そしてキラキラしたものが沢山散らばっている。

他の妖精さんたが歌ったり踊ったり演奏したりしている。

 ご飯は妖精の口に合わせて小さかった。ほんの小指程のお皿にパンや果物が山盛り。僕を見て水色の妖精が棒を一振り。するとあっと言う間に僕の口に合う大きさにったんだ。これって魔法? 凄いよ初めて見た。

「ではみんなで頂きます!」

楽しい楽しい時間。

それにとても美味しかった。

 みんなで少しお昼寝をした。

僕が目を覚ますと、もうみんなは仕事を為ていた。

本当働き者の妖精たち。

「そのバラでチュチュを作りましょう! 香りを混ぜることが出来るようにするには……」

「子供カーニバルには、この本でお芝居したら楽しいよね。急いで台本作ろう」

「そうだね! そしてお月様を出して。そうだ! まん丸お月様を三日月になるまで食べちゃうシーン入れる?」

とか!もう楽しい事が次から次へと溢れでる妖精たち。そう言えばさっきのハロウィンの話しの続きはどうなったのかな?

耳を澄ませると聞こえてきた。

「だからね、こわい音楽の題名は? 何よ」

「えっとね、えっと」

僕は思わず

「禿げ山の一夜」

妖精たちは驚いて振り返り

「はげたのは一夜で? って何」

違うよ! もう禿げ山の一夜!

これは怖いよ~」

妖精たちゲラゲラ笑うと

「知ってるよ! ちょっと揶揄ったの。そうだねそれがいいよ。

君のキラキラだよ! 誰がキラキラに気付いてくれるかな。落とす場所、ひとは幾つもあるから。誰かに届けばいいね!」

ワクワクする。僕のキラキラかぁほら! あの人悩んでるよ。スタッフと意見が合わないんだ。

「アニメから選ぶのは如何かな……一瞬何が起きたかって思わせたいんだから。俺は違う何かが良いんだよ」

「じゃあ言ってくださいよ。具体的に」

「ど忘れした。すぐ言えれば苦労しない。少し考えるから待てよ」

僕のキラキラを落としてみることになった。

出来たてホヤホヤのキラキラを。

「見てて」

水色の妖精はスーッと消えた。あっ! あれ? 小さい光がキラッと瞬いて消えると、その男の人は突然立ち上がり、その場でスマホを弄り始めた。

「これこれ! 禿げ山の一夜! 聴いてくれ」

スタッフはスマホを見つめている。中のひとりが

「良い! イメージピッタリだ!」 

みんな笑顔だっ。

水色の妖精が得意げに帰ってきた。

「幸せ感じた?」

「感じた!」

✴ 

眠気を我慢しながら聴いている 創も可愛いけど。

「続きは明日ね」

「絶対ね! 約束」

指切りをさせられる毎日が

幸せだよ創ちやん。

私もキラキラ欲しいよ

妖精さん!

「了解。また明日は運んでくるからね」



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