カクヨム作家のわたしはわたし 🤭

上月くるを

カクヨム作家のわたしはわたし 🤭





 他者の言動に影響されやすいのが自称カクヨム作家・ヨウコのウィークポイント。


 強気を装っているわりに、なんということもないコメントをいつまでも引きずる。

 ネットで交流している同業者(笑)が傑作をモノすると、にわかに慌てふためく。


 続編が読みたいとのリップサービスは、書かねばならない義務感に易く変容する。

 大方のユーザーや事務局の志向とカスリもしない、冷厳な事実に打ちのめされる。


 要するに、肚が据わっていないので、ときどき沈潜のウェーブの底を彷徨う……。




      👩‍🎨




 夜、眠れぬままにテレビをつけ、さして期待もせずに録画しておいた番組を観た。

 歴史に名を残す女たちの軌跡をたどる企画で、今回は漫画家・上田 トシコさん。


 少女雑誌『りぼん』で活躍した方だそうだが、漫画を読まないヨウコには初見。

 ふ~ん、ありがちな成功譚でしょうと気が乗らなかったが、途中から、えっ?!


 のんびりほんわかポジティブな少女の、ドラマティックとは言いがたい漫画で人気を博していた上田トシコさんを、あるとき思ってもみなかった時代の大波がおそう。


 壮大な構想を引っ提げて、彗星のごとくデビューした手塚治虫なる巨人が、従来の日本漫画界の常識をくつがえし、読者はいっせいにそちらへ引っ張られてしまった。




     🐼




 時代に乗り遅れまいと上田トシコさんも懸命に大河物語のような漫画を目指すが、どう足掻いてもアイディアが思い浮かばず、焦ればあせるほど自己嫌悪地獄に陥る。


 もう漫画を捨てようとまで絶望したとき、ふと思い浮かんだのが幼少期を過ごした中国のハルピンを舞台にし、中国の少女を主人公に据えた『フイチンさん』だった。


 一世を風靡する手塚漫画とは真逆の、のんびりほんわかポジティブな、上田トシコさん本来の路線だったが、意外にもこれが受け、長寿の晩年まで独自の路線を貫く。




      🌌




 やっぱりそうだよね~、だって上田トシコさんは手塚治虫さんじゃないんだもの。

 自分の内にないものを描こうとしても、読み手の胸を打つものは出て来ないよね。


 自分は自分ひとはひと、手塚さんにないものを上田さんは持っていらしたはずで、そのオリジナルな発想や雰囲気に惹かれる読者が一定数いても不思議はないんだし。


 すっかり醒めた頭で思いを巡らせたヨウコは、彼我を比べる無為はやめ、とにかくマイペースでコンスタントに書き継ぐ……本来のスタンスを取りもどすことにした。


 よく考えれば、いや考えなくても(笑)ヨウコにとって生きる=書くなんだから、心に生まれた言の葉を細々と紡ぎつづけなければ生きていかれへんやん。(´ω`*)





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