ブレイブボーイ
平和将軍
第1話 彼女との出会い
<~ブレイブボーイ~>
僕が誰かって?
本当に知りたい?
気の弱い人は聞かない方が良い。
僕がなに不十分なく、幸せな人生を送ってきた。
世の中になんの心配もない、平凡な人間だ。
なんて言う奴がいたとしたら?
…そいつは嘘つきだ。
でも安心して良い。
これは他の物語と同じように…女の子を巡る話。
どこのクラスにでもいる。
どことなく周りとは違う雰囲気を醸し-かもし-出す赤毛の女の子…。
…僕はこの子が気になっていた。
好きなのかって?
それはどうだっただろうか…。
「おい,レオ!なにボサッとしてんだ」
「えっ…あっはい!」
窓から外を眺め、物思いにふけている自分を呼ぶ声に驚き、思わず身構えてしまう。
「センセー!その子、校庭で走ってる女の子に夢中でしたー!」
「…いや。違いますよ!」
自身に降りかかる良からぬ疑惑へ否定の声を上げた。
「はっはは、外の様子にフケるなんて、いやらしいことをでも考えてたんじゃないかー?」
「あー!えっちだー!」
「ちょっ、ちょ!変なでっちあげはやめてくださいよ!」
大人数の中でからかわれて思わず挙動不審な態度をとってしまう。
そんな様子をクラスメイトは笑っていた。
クラスでの関係はおおむね良好だ。
この2年間、大きなトラブルもなく。
学校ではみんなと仲良くしている。
高校最後の年をこの人たちと一緒に過ごせることを幸せだと感じていたんだ。
けど…社会に出るとどうなるのだろうか?
未だに将来を考えていない僕は、大学に行って、
モラトリアムの期間を得ようとしている。
なりたいもの…なんていうものは良くわかってない。
不安はあるけれど、
とりあえず今は、最後の高校生活を満喫して、
受験をこなすことに集中するしかない。
「さてと…ホームルームも終わったし…図書室まで行くか…」
「あれ?…あの子…」
視線の先には、長い赤毛が風に吹かれている女の子が佇んでいた。
「……。」
どこか不安げで…挙動不審な態度…。
思わず固まってしまう
(どうしたんだ…。なんだが不気味…)
ほんの一瞬で、僕は違和感を悟る。
すると、彼女は、僕に気づいたのか
耳を抑えるようにうつむき、踵-きびす-を返して走りだしていった。
「…」
興味本位とでもいうのだろうか?
僕は彼女の様子が気になって後を追いかけた。
〈人気がない校庭〉
「君,大丈夫?」
「……」
不気味だけど、何かに怯えている少女に…庇護欲が駆られた。
「あの…僕でよければ力になるよ」
声を再度かける、すると…
「…何が目的なの?」
「えっ…」
「貴方は…誰?」
「ああ、僕はレオっていうんだ。はは、君とクラスが一緒なんだけど後ろの席に座ってるから顔も知られてないかな?」
「……私になにか?…どうするってのよ」
「えぇ…そんな、苦しそうだから。…力になろうとしてるだけで…」
「…みんなが私の悪口を言ってる」
「え?ああ…」
「…もう嫌だ…」
「ええと…その、そんなこと、ほっときなよ。」
僕はなんとか励ましたいと思い言葉を紡ごうとする。
すると…
「そんなこと!?」
空気が変わった。
彼女の表情は、歪む。
僕は、固まってしまった。
彼女の声、顔、態度…
全てから複雑に絡み合った感情を感じたんだ。
「え、ああ…喧嘩とか、そういうのしたときとか、互いに愚痴りたいだけでさ。
言いたい奴には言わせときゃ良いじゃん?」
慌てて言葉を絞り出す。
嫌な空気だ。それに逆らうように軽口でいう。
でないと、僕は彼女の雰囲気に飲まれてしまいそうだ。
僕はすぐにでもこの空気を変えたくなった。
「…」
「その場の感情に流されてるだけで、すぐになくなるよ」
空元気にいう。自分の言葉が励ましなのか願いなのか分からない。
「…」
「えっと…何かして気を紛らわすとかさ…。その…気分が悪いなら、保健室にでも行って休むとか…」
「ふっ…ふざけんな!気紛らわす?休む?笑わせないで…それで済むならそうしてるわ!!」
「えっ,ああ…えっと。」
「普通の暮らしで、普通に遊んでいるアンタに!…私の何がわかるの?
私が見えてる世界…何も知らないくせに!」
「ど、どうしたの?落ち着いて」
「アンタにも私と同じ世界を見せてやるわ!!」
「え…?…っ!!」
僕は絶句した。…首を…かまれていた。
「お,お!はな…や、やめろっ!!」
驚いて硬直していたが、こわばった腕をふりげて彼女を突き飛ばす。
尻もちをついた、彼女の顔は呆けていて…目はよどんでいた。
「…ぷっは…ふっふふ、…へへへ」
「…ぅぁ…」
自分の首に気持ち悪さを感じる…粘液が付着した感覚だ。
「…ふっふふ…あはははは」
「ぅ…っ!」
僕は逃げ出した
ブレイブボーイ 平和将軍 @Heiwa_syougun
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