第35話 魔獣なんだけど?
あれからドタバタとユリティアにいろいろ家の事を教え、ヴィアスと共にいろいろ聞いたりしたので丸一日ユリティアとヴィアスを質問攻めにしてしまった結果。
様々な情報を入手した。
【火】【水】【雷】【風】【土】【植物】【氷】【光】【闇】【無】
結局この10の属性の加護だけだった。
二人の容姿は加護の影響なのか聞くと、そうらしいのだが、そうでもない者達も居ると言われた。
不思議な世界だ。
子供は?遺伝するのかと聞いてみたが、二人は子供を持ったこともないし、親をよく知らないらしい、なんかごめん。
この世界の最強の種族は?って聞くと、やはりドラゴンと答えてくれた。
稀に上空を飛んでいるらしいく、アルクは狼の時に上空に飛んでなかったよね?っと内心ヒヤヒヤしながら聞いていた。
二人とも結局ここに住むの?と聞くと「だめか?」「だめですか?」と、聞いてきたからさすがに顔を見ず、いいよっていうしかなかった。
最後にドリアードが何故ここに近づかないのかユリティアに教えてもらったので、解決しようと太陽の昇っている時間、アルクはいつものラフな格好で頭にチャチャを乗せ緑のローブを着たユリティアと歩いて池に向かっていた。
「そろそろユリティア、自分の事を様呼ばわりせず楽に話そうよ」
「いえ、ですが」
「お願い!」
アルクは手を合わせて頭を下げる。
これから一緒に住むとなるとさすがに敬語だったりされると気疲れしてしまうからだ。
「・・・ええ、分かったわ」
「よかったよ!ありがとう!」
渋々了承してくれたユリティアに満足そうに頷き感謝を述べたアルク。
「確か、ここにドリアード様が居ない理由はズンナマさんが索敵していて威圧を送ってるからだったよね?」
「えぇ、そうね、私もここへ来て東の主が食べられて気が付いたの」
アルクは、そうだったのか、と呟き池の前に立つ。
「ズンナマさーん起きてるー?」
アルクがそう池に向かって話しかけると、池の底から2本の暗い青色の太い髭がゆっくりと音を立てずに出てきて、アルクの前にシナシナと垂れた。
それを、アルクは優しく触れると一瞬だったがビクッと強張り、アルクはもしかしてと理解する。
「もしかして、自分達を護ってくれていたの?」
そうアルクはズンナマさんに問いかけると、太い髭がアルクの頬を軽く触れ、アルクはその髭を優しく撫でてきた。
「そうだったんだね、怒ってないよ、護ろうとしてくれたんだから怒らないよ。
でももう脅威になる存在はいないから索敵をやめていいよ、力になろうとしてくれたんだよね、ありがとう」
アルクがそう優しく撫でながら言うと。
水面からさらに8本の髭が出てきて、1本ずつアルクの頬を軽く触れていく、そして暗い青色のドデカい頭だろうか?丸い艶やかな頭の左右につぶらな水色の瞳が水面から出てこちらを見ていた。
アルクは、その姿を見て固まった。
(こんな瞳をしていたのか、10年越しにズンナマさんの瞳を見るね。
竜田揚ゲさん・・・ズンナマ・・・ナマズかと思ってたけど違ったよ)
10本の海に居る魔獣を良く知っている、ゲーム内で戦ったことがあるからだ。
名は、推定LV100超えのフィールドネームドボス【海獣ギディアグネリア】
ナマズじゃない。
クジラだ。
口はナマズのようだが他は透き通る青い肌をしたクジラだ、そして10本の髭が生えていて、海の護り神と言われている存在だったはずだ。
それが・・・池の護り神になっているよ。
チンアナゴ状態だよ!池にギリギリ体が収まってるよね!?窮屈じゃないのかな!?淡水で生きているのはなんでだよ!海水じゃないよ!なんでここまで自然進化しちゃったの!?ゲーム世界だったからか!?そうなのか!?でもここ現実だよね!!淡水型の進化かな!?ゲームの世界に戻れたら竜田揚ゲさんを真っ先に呼びに行って報告するね!!そして今度池の底にいってもいいかな!!絶対行くね!!
そんな馬鹿なことを考えて固まるアルク。
ズンナマも何かしてしまったのかと思い、池の中に戻っていくアルクはそれに気づき声を掛ける。
「ご、ごめん、ズンナマの成長が意外すぎて、ビックリして固まっちゃったよハハハハハ」
「アルク、すごく動揺しているようだけれど、大丈夫?」
「え!なにが?大丈夫だけど」
ユリティアが心配して声をかけるがアルクはまだ動揺しているようで上ずった声で返事をしズンナマの髭を手で擦っている。
そして先ほど何を話していたか飛んでしまったアルクは頑張って思い出す。
「あ!そう、そう、そう、聞いてズンナマ、大丈夫だからね、探知をしなくても、本当に危なくなったら助けてほしいけど、大丈夫だからね!あと、あと、あと、ご飯だって毎日あげるからね!あと、」
焦るアルクをチャチャが顔を舐め落ち着かせる。
「あぁ・・・これだけは言っておくね、今もズンナマは仲間だからねこれからも変わらないよ本当にありがとう護ってくれて、大丈夫だよ」
アルクがそう言うと、ズンナマにも伝わったのか1本の髭がアルクの頬に軽く触れ池に戻っていった。
「チャチャ、ユリティアありがとう」
「ッフン」
「戻ったようで安心したわ」
アルクが二人に感謝を述べると、チャチャは鼻で笑い、ユリティアも胸を撫でおろしている。
「ありがとう、よし、あとはドリアード様達が来てくださるのを気長に待とうかな」
「アルク、私がドリアード達に声をかけてくるわよ?」
「え・・・でも・・・ユリティアにはいろいろとお世話になっているから・・・」
アルクは、ユリティアの申し出に戸惑っていると。
「ふふ、いいのよ、、私こそ力を授かり温かい寝床や食事もいただいているから、気を使わないで」
アルクはまだちょっと戸惑いながらユリティアの眼を見ると、でもと言えなさそうな雰囲気に成す統べなく。
「・・・お願いします」
折れるしかなかった。
ゴブリン如き めも @memojp
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゴブリン如きの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます