第34話 何処で覚えたの?

ヴィアスのとの一件があった次の日。

太陽が昇る時間。


ヴィアスは外出している。

なんでも鍛えなおすらしい、アルクが「いや?ヴィアスもう結構強いよ?」と言っても納得せず出かけて行ってしまった。

自分の腕も1時間くらいで回復し終えた、ちゃんと自然治癒能力は発動しているみたい。



そして今、ベラとエリクをあやしている最中にアルクの肩に乗るチャチャが頬を舐めてきた。



「ん?チャチャなにかあったの?」



「シューシュー」



アルクがチャチャに聞くと、シューシューと上に向かって舌をチロチロと出し鳴いている。



「あぁユリティアが起きるんだね、それは大変だすぐ向かわないと!」



アルクは急ぎ行動する、勝手に起きられ裸で動かれるとまずい。

ベラとエリクもアルクの慌てぶりを見て察したのか泣かずに「あうあう」と手を振ってくれている気がする。

この子達めちゃ賢いとアルクは思い、手を振りユリティアの居る部屋に向かった。



「着替えよし、下着よし、布よし、革靴よし、全部よし!」



「ん、んぅん、ふー」



アルクはユリティアの着る服を最終確認していると、ベッドから色気のある声が聞こえ、すぐにアルクは頭に乗ってるチャチャと一緒にユリティアのベッドの横に立ちスタンバイしユリティアの顔を見つめる。

ヘラジカの時にあった立派な角は無くなり、美しく艶やかな黄緑色の髪、長い黄緑色の睫毛、整った黄緑色の眉毛、鼻は高く、少しふっくらしている健康な唇、整った顔立ちそして白い肌をしている改めて見ても綺麗だな、どんな瞳をしているんだろう?



アルクはそんなことを考えていると、ユリティアがゆっくりと目を開け、周りを見渡している。

そして横に気配を感じたのかアルクと目が合い少し固まる。


薄い黄色の瞳をしてるんだなとアルクは確認し声を掛けた。



「おはようユリティア、動かないでね」



「ァイ・・・アイ?」



「じっとしてて!」



ユリティアは目を覚まして、すぐに動かないでと言われ困惑していた。

それでも体を起こそうとするユリティアの両肩をアルクは掴むともう一度寝かされ、ユリティアは困惑する。



「ス・・・アーアーアー、イーイーイー、ウーウーウー、スー・・・、ハー・・・、すみませんアルク様、チャチャ様も居ますからそういうのは・・・また・・・二人のとk「違います!」イタッ!」



ユリティアは何度か発声練習をすると、何を勘違いしたのか、念話の時と同じ風鈴のような透き通る声で、色っぽく変なことを言ってきた。

すぐにアルクは否定し、そしてチャチャにユリティアは額を舌でド突かれた。



「違いますからね!ここに着替えを置いていますので、着替えてください!」



アルクは目が血走り息遣いが荒く、きちんと否定しないと後が怖い、自分もその舌でド突かれるのはごめんだ、痛覚が鈍いだけで、痛いものは痛い。

アルクがそんな事を考えていると。



「アルク様、そういえば服とはどう着ればよいのでしょう?私、服というものを着た事がありません、恐縮ないのですが着せていただけないでしょうか?」



アルクは、それを聞いても動じなかった。

ヴィアスの時にそれは経験積みなのだ、もちろんユリティアの着替えとは別に自分で着て教える用の服も用意していた。

アルクは自分の用意のよさにニヤリと笑う。



「えぇ分かってます、なので顔だけをこちらに向けて見ていてください」



そしてアルクは、まずこれが、これが、と着ている服の上に着たり履いたりしてユリティアに見せて説明していく。



「分かりました?」



「はい、なんとかしてみます」



「お願いします、では自分は部屋の外で待っているので下着とシャツとズボンが着れたら教えてください」



「はい、分かりました」



アルクは、よし!と心の中でガッツポーズをし、部屋から出ると扉を閉めユリティアが着替えるのを待った。



少し経つと、部屋から終わりましたとユリティアの声が聞こえアルクはゆっくりと扉を開け入る。



(まだローブは着てないけどラッキースケベ的な展開がなくてよかったー)



茶色の半袖の紐シャツと黒い長ズボンを着ているユリティアを見て、寝ている時とはまた違う美しさに目が行く。

ユリティアなら何を着ても清楚で優美に映りそうだと、そんな事を思っていたアルクは。



「ちゃんと着れてますねそれで問題ありません、あとはローブを着て終わりですね」



「すみません、このローブ?の着方がいまいち分からないので着せていただけませんか?」



ユリティアがそう言い、アルクはいいですよと言い身長差があるので、アルクは一度靴を脱ぎベッドの上にあがると、正面からユリティアの頭に茶色のローブを着せていくが。

胸のあたりでシャツ越しの突起物に目が行く。



(あれ?布を巻いてない?)



とアルクは思い、顔をずらし机を見るがない、あれ?と思いながら机の下を見るとそこに白い布があった。



(落ちていたのか、ま、さすがに巻けないよね、しょうがないね)



そんな事をアルクは思いヤレヤレと顔を軽く振ると、左頬にチロチロ舐めてくる舌がある、チャチャさんって意外とわかってるよね?と暢気に思って自分の肩にある紅い竜の瞳を見つめる。

すると向こうも眼を細めニタァと笑ってチロチロしていた舌が口にもどり。



ドスッ!



そのままアルクはユリティアさんの茶色のローブから手を放し流れるようにベッドに倒れこんだ。

急にアルクが倒れた事にユリティアは驚き声を掛ける。



「アルク様大丈夫ですか!?」



「うん、気にしないで続けて着てて」



アルクは気にせずにとユリティアに声をかけ、起き上がろうとせずに力を抜きベッドに体のを預ける。



(まだ温かいな、しかもお日様にあてた布団の香りがする。

最近ずっとリビングの床で昼寝してたからなやっぱりベッドは落ち着くね・・・)



アルクはそのまま意識を手放そうとするが。



バチーーーーーーーーーーーーン!



手放せなかったよ。



チャチャさん何処でそんな知識を覚えたの?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る