第3話 本当に愛する人
「誰だっ! うわっ!」
「な、はなせっ!」
なに? どうしたの?
突然、兵士たちがなぎ倒されて断頭台から降ろされる。
ボロボロな私をそっと優しく抱きかかえたその主は、私の好きな、大好きな人だった。
「お兄様……」
「ごめん、遅くなった。トワ、一緒に逃げよう」
「なんで? 死んだはずじゃ……」
「偽装した。次に狙われるのはトワだと思ったからね」
フィリスお兄様は私をお姫様抱っこするとそのまま処刑場を駆けだした。
「トワ、私とどこか遠くに逃げよう」
「でも、お兄様にはアンナ様が……」
「アンナには婚約破棄された」
その言葉と表情から、お兄様がアンナ様に婚約解消を申し出てアンナ様を守るために、向こうからの婚約破棄にしたのだと気づいた。
「わたし、わたしはお兄様が好きです……大好きなんです」
「ああ、もうお前を妹としては扱わない。私もお前を愛しているよ」
そうして重なった唇は、夕日の中に溶け込んでいった──
私が愛しているのはあなたじゃないっ!私の愛しい人がいない世界なんてもう意味ないのっ! 八重 @yae_sakurairo
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