昨今の社会の急速な変化に伴い、ジェンダーもSFのなかで描かれるようになりました。ふつうに電車に乗っているとスラックスを履いた女子高生も見かけるようになりました。男女のジェンダーバイアスをなめらかに減らしていこうとする流れが現代にありますよね。本作に出てくる子どもは無性体として生まれてきます。こういう設定は萩尾望都「11人いる!」のキャラクターにもいます。雌雄未分化の存在です。子どもの間はこうした無性体で生きていて大人になるときに性別が与えられるというような。
もし、性別を選ぶ権利を思春期の少年少女が持ったら? という設定を用いて性とは何なのかという問いも描き出していると思いました。そこには家族からの期待や、友人からの視線など複雑な事情が絡まり合っています。この物語はいずれ現代ドラマとなるのでしょうか?