同居

#365日ショートショート 297

　実家を離れて数十年。母とまた一つ屋根の下で暮らすとは思ってもみなかった。

　夫は反対した。それもそうだ。義理の母と今更どうこうなろうなどと、私だってムシのいい話だと思う。これまで築き上げてきた、夫と私、そして子供たちとの生活。それが一変してしまうのだ。物理的にも大変だろうけど、何より精神力の問題。消耗と疲弊を繰り返す日々になることは、誰の目にも明らかだった。

　反対する夫。説得する私。半年の議論の末、夫が折れてくれた。母を招くことを受け入れてくれた。本当にありがとう。理由は様々あったけれど、この選択が一番手っ取り早いって、分かってくれたみたい。

　母が我が家にやってきたあの日。私が体を押さえ、夫が首を絞めた。それは今、床下で静かに眠っている。