星に願いを〜僕の大切な君へ

朝霞

第1話

僕のことを


ずっとずーっと友達だよ。


と言ってくれる。


僕は神奈子ちゃんが大好き。神奈子ちゃんが居てくれたら僕は幸せなんだ。

大好きだよ。


神奈子ちゃんは僕を抱きしめながら声を出さずに震えながら泣くことがある。

その時はすごく力一杯抱きしめるからちょっと苦しい。

でもそんな神奈子ちゃんを受け止められるのは僕だけだから。大丈夫だよ。


僕が人間なら神奈子ちゃんが僕を撫でる様に頭を撫でたり、背中を撫でてあげるのに。


何で僕は猫なんだろう。

僕には何も出来ない。


最近神奈子ちゃんが僕を抱きしめて泣くことが増えた。

神奈子ちゃんのお母さんは病気なんだ。

神奈子ちゃんが泣きながら


お母さん死なないで。

神奈子をおいていかないで。

良い子にするから。

神様お母さんを助けて。


ってようやく心の中の言葉を口に出したんだ。

僕に聞かせてくれて嬉しかった。


「ねえ。流れ星にお願いすると、願いごとが叶うんだって。毎日神奈子と一緒に流れ星を探して見つけたら一緒にお願いして。お母さんが助かります様にって。」


神奈子ちゃんのお願いなら僕は何でもきくよ。一緒に流れ星を探そうね。


寒い冬の夜色々な人がバタバタと家の中を走っている。

僕は黙って見つめていた。


神奈子ちゃんが僕を見つけて抱きしめて来た。


「お母さんが死んじゃうよ。神様は神奈子のお願い聞いてくれなかった。何がいけなかったの?どうしたらお母さんが助かるの?」


泣きじゃくる神奈子ちゃんを見て僕は解ったんだ。

神奈子ちゃんの幸せは、お母さんが生きて居ることだって。

僕は神奈子ちゃんから離れて、人の合間を縫って玄関から外に飛び出して流れ星を探した。


天空を一筋の光りが弧を描いた。


「僕の命をあげますから、代わりに神奈子ちゃんのお母さんの命を助けてあげて下さい。神奈子ちゃんを幸せにしてあげて下さい。それが僕の幸せだから。」


空が光り輝いて、僕に光りが降って来た。


大丈夫だよ。神奈子ちゃん。お母さん助かるよ。


重たくなる身体をゆっくりと地面に横たわらせてもう開く事が無いだろう目を閉じた。


目を閉じると神奈子ちゃんとの楽しい思い出が色々と流れてくる。


ああ。僕はなんて幸せだったんだろう。


僕を好きになってくれてありがとう。

僕の家族になってくれてありがとう。

僕を幸せにしてくれてありがとう。


その気持ちを全部ぜーんぶ神奈子ちゃんに返すよ。


ありがとう。

これからは僕がお星様になって神奈子ちゃんとお母さんを見守っているからね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

星に願いを〜僕の大切な君へ 朝霞 @haru3341

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ