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「らぶ助っ」


「如何した」


「ちょっとは驚けー」


背後から飛び掛かった空木の楓は不服とばかりに唇を尖らせた。


「常時定番化したら新鮮味欠けるだろ」


対してラーヴァは手元の書籍に目を落したまま、けれど口元は緩やかに。


「むぅ、つまんね」


「なら邪魔するな」


「俺はらぶ助を後ろから襲うのが好きなのっ」


「空木の楓は前から襲われるのが好きだろ」


空木の楓はぐうの音も出ない正論を浴びせられ、きゅうっとラーヴァの背中に顔を押し付けた。


「だって最近らぶ助勉強ばっかで寂しい」


「一族もろとも路頭に迷わせてやりたいからな、少しだけ我慢してくれ」


「我慢したご褒美は?」


「そうだな…大学進学してすぐ同棲?」


「我慢、する!頑張れらぶ助!!」


空木の楓はガバっと顔を上げ、ラーヴァを抱き締め鼓舞をする。


「否定、しないのか?」


「しない。俺は俺が好きなひとの味方」


はっきりそう言われてしまったラーヴァは瞠目した後、嬉しくって珍しく顔をにやつかせてしまったが、背中に顔をぐりぐり押し付け我慢している空木の楓にはバレなかった。


「ついでに養ってやる」


「おれがんばってしゅふになるぅ」


「はは」


馬鹿な会話だとラーヴァは思った。

けれどそれは幸せに満たされたやり取りで、未来予想図で。

復讐の炎は相変わらず、瞳の色と同じような煌々と赤。

ただ、それと同じように幸福も求めてて。

ああ、落葉がはらっと鼻先掠めたよ。

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植物に呪われる 狐照 @foxteria

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