秋風のような

しらす丼

秋風のような

 呼吸が出来ないほどの暑さを越えた秋。

 吹き抜ける風は澄んでいて、降る光は優しく感じる。


 ふだんの日中にほとんど聞くことの無いカラスの鳴き声が遠くで響いた。その声にホッと一息つきながら私は青い空を見上げる。


 悠然と流れる白い綿雲。

 羽ばたくカラスは、鷹揚に自由に見えた。


 昨日まで息が詰まりそうなほど目まぐるしい日々を過ごしていた気がする。

 時の流れは平等なのに、感じ方ひとつで一日の余裕はこんなにも違うものなのか。

 そんなことを思った。


 日曜の白昼。明日からまた仕事が始まる。


 思わずため息が漏れた。

 仕事は嫌いじゃない。けれど、なぜか気が重くなる。


 カーテンが膨らみ、遅れてひんやりとした秋風が私の頬を撫でた。

 その風にさらわれたのか、胸にあった陰鬱な感情の喪失を感じる。


「明日も頑張るか」


 秋風のような、澄み切った心でね。


 秋は爽やかな季節。

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秋風のような しらす丼 @sirasuDON20201220

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