楽しい社員旅行
福利厚生の一環として、我ら社員一同静岡県熱海は矢乃旅館に二泊三日で滞在しております。今は初日の夕刻、温泉の後の夕食、宴もたけなわと言うところで御座います。
我ら若手数年目は、お偉方の接待に回ります。
「さあさあ一気に飲んじゃってください!」
「お、じゃあいっちゃおうかな!」
「いよ!!さすがです!!」
「いや~はっはっは」
と、お世辞だとわかっていても昔自分がやっていただけにいい気分になるんだろうな~などと内心で独り言ちます。
「さあさ水村部長もどうぞどうぞ」
お偉いさんを沈めたら、若手(数年目も含む)の時間が巡ってまいりました。
「ねえ
そこに酔っ払いが「いないよね!いないと言ってくれ~」とかぶせます。
そこで酔っ払いが
「なあおい、おまえは知ってるのか?」
私は知っています。だけど知らない風を装って、
「お前は他にいい人がいます、だとよ。」と笑います。
「な、それはねえよ~」と苦笑い。
恵さんが目礼してきましたので、軽く頷いておきます。
そうして談笑する事数十分、ちらほら、いびきをかく人たちが出始めました。
と、ここでピロロンと、スマートフォンが新着を告げます。
見てみると部屋の外の恵さんから、「ちょっと付き合って」だそうです。
周りにお手洗い、と一言告げ、宴会場を出ました。
恵さんと落ち合って、益体もない事を話しながらついていきます。
人目のないところまで行きつき、彼女がそっと口を開きました。
「ねえ、
と、とぎれとぎれに話します。
「別れたい、て、こっちで、新しい相手を見つけたから、って。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます