彼女と話して
ついに泣き出してしまって、
「こっちから送ろうとしても、スン、ブロックされたみたいで、ズ、何回もいろんな方法で試したんだけど、」
と話してくれました。
何年も付き合っていただけに、信じられません。
少し考えてみたら、倦怠期中に軽い気持ちだった、と言う所でしょうか。
確信はしたくありませんが。
さて、どうにもうまい言葉が浮かばず、泣き疲れたであろう彼女を部屋まで送ります。
・・・無言の部屋までの道のりが、とても長く感じられます。ただ、幼少の時のように、白く艶やかになった手を握り、隣を歩きます。
不意にポツリと、恵が呟きました。
「龍雅が、好きだったの。告白されて、嬉しかった。」
「うん、話してくれたね」と語りかけるように。
「手をつないで、ドキドキして、デート服を選んで、プレゼントを交換して。」
「報告してくれたね、一緒に選んだね、流石だと唸ったよ。」
「わたし、幸せだった…でも!・・・」
「ああ、許せないな。本当にあのヤロ―は…こんなかわいい恵を振って・・どうせ地獄に落ちるよ、あんな奴。いや、
どうやら俺も、酔っているようだ…
クスッと、恵が笑う。泣き笑いしている。
「ふふ、大袈裟だなあ、竹君は。」
竹君。懐かしい呼び名である。幼い時は、よく呼んでくれた。僕はそれに、めぐちゃん、と返したものだ。
「めぐちゃん、」
「なあに。」
口に出てしまった。慌てて、
「いや、懐かしいな、って」
「ほんとにねえ。」
と、めぐちゃん。
「ふふ、たーけ君!」
「な、何?」
「呼んでみただけでーす!」
と、めぐちゃんが笑う。
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